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地方財政ダッシュボード

岐阜県中津川市の財政状況(2022年度)

🏠中津川市

地方公営企業の一覧

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収録データの年度

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総括表

人口の推移

財政比較分析表(2022年度)

財政力指数の分析欄

令和4年度の財政力指数は、前年度と比べて0.01ポイント減少した。これは、新築住宅等の増加に伴う固定資産税の増額のほか、新型コロナウイルス感染症による経済への影響が回復傾向にあることによる所得の増に伴う市民税の増額により、基準財政収入額が増加した反面、国の第2号補正にて臨時経済対策費が創設されるなど基準財政需要額が増加したためであり、直近5年で最も低い。今後、市の経営資源を活用した歳入確保についてあらゆる可能性を検討するとともに、市が実施する事業の必要性や効果、経費積算の妥当性を見極め、一層の効率化、合理化、経費の最小化、年度間の平準化を図り、持続可能な財政基盤の確立に取り組む。

経常収支比率の分析欄

経常一般財源が微増のなか、それを上回る臨時財政対策債の減少があったことや、長期債の元利償還金や物価高騰の影響による光熱水費の増など、経常一般財源を充当する経費が増額したという収支双方で比率を押し上げる変動があったため、前年度から4.6ポイントの悪化となった。今後も、社会保障関係経費などをはじめとした義務的経費の増加が見込まれるなか、一般財源総額の大幅な増加が見込まれない状況にあるため、歳出のスリム化と歳入の確保を徹底し、財政構造の弾性力を確保できるよう努める。

人口1人当たり人件費・物件費等決算額の分析欄

人件費は、前年度に比べて微減となったものの、物件費が物価高騰などの理由により、人件費の減を上回る増となってしまい数値を悪化させる結果となった。また、本市では人口減少の歯止めが利かない現状があるため、DXの推進により行政サービスのコストパフォーマンスを向上させ、限られた人員や財源の徹底的な見直しによる歳出のスリム化により分子となる人件費及び物件費の縮小を図ると同時に、子どもを産み育て、地域を支える人材を育てる環境の整備を重点的に取り組むことで分母となる人口の減を緩やかにすることで数値の回復に努める。

ラスパイレス指数の分析欄

国と同様、高年齢職員の昇給・昇格制度の見直しを行うことなどにより、給与水準の適正化に取り組んでいるものの、高年齢職員の占める割合が高い構造上、指数は高止まりすると考えられる。引き続き、人事院勧告を基本としつつ、国家公務員の給与水準を踏まえて、必要な見直しを行い、適切な給与管理に努める。

人口1,000人当たり職員数の分析欄

合併以降増加した職員数を削減するため、中津川市定員適正化計画を策定し定員管理に努めており、適正な人員管理に努める。今後も、新たな行政課題に適切に対応できるよう、部局の枠組みを超えた柔軟な組織改編を行い、民間委託の推進など行財政改革を積み重ね、最適な組織配置だけでなく、人材の活性化も図る。ただし、県内6番目という広い市域をカバーする必要があることやリニア開業後を見据えた社会基盤整備や移住定住の促進など、リニア開業までに投資的な施策を戦略的に展開することが必要なため、必要な業務量に対応できる職員数を確保することが重要であり高止まりすることもやむを得ない面がある。

実質公債費比率の分析欄

公債費負担適正化計画に基づき新たな地方債の抑制をするなど、地方債償還額を長期的にコントロールしてきたため前年度とほぼ横ばいの6.7%となった。今後は大型事業が控えていることから、公債費負担が一時的に上昇する可能性があるものの、引き続き公債費負担適正化計画に基づく借金の抑制や病院経営の見直しなどの企業会計の自立化を図ることで引き続き公債費減少に向けた取り組みを進めていく。

将来負担比率の分析欄

令和2年度に皆減となり、令和4年度まで続いている。これは、公債費負担適正化計画に基づき、計画的に地方債残高を減らしたことや、分母となる標準財政規模の基礎となる普通交付税が再算定により伸びていることが要因である。今後は、大型事業の本格化により一時的に地方債残高が大幅に増加することが見込まれるため、計画的な減債基金への積立てを行い、控除する充当可能財源等を確保しておくことで、将来負担額が増加した際の数値悪化を軽減させるよう努める。

経常経費分析表(経常収支比率の分析)(2022年度)

人件費の分析欄

職員給や退職金がそれぞれ減となり人件費全体は減少(74.1億円→73.5億円)したが、臨時財政対策債の減少等の理由により経常収支比率全体として悪化していることから、歳出の減が数値の回復に直結しない結果となった。リニア開業までの間は必要な業務量に対応できる職員数を確保することが重要であるため、高止まりすることもやむを得ない面がある。

物件費の分析欄

物価高騰の影響による光熱水費の増など社会的な要因もあり、類似団体内平均と同様に増加の傾向を辿った。新型コロナウイルス感染症の拡大時にイベント経費等の既定予算を見直すことができたため、平時への移行に合わせて過剰な予算化を控えることや行財政改革の取組みにより業務改善を図ることで経費の節減に努める。

扶助費の分析欄

経常一般財源を充当する事業について物価高騰の影響から全体的に微増しており、決算額としては約1.6億円(17.4億円→19.0億円)増加したこともあり、0.8ポイントの上昇となった。扶助費は、生活保護費など法令等の規定により支出が義務付けられており、縮減が容易ではない性格の経費である。また、社会保障関係経費については、今後も増加が見込まれていることから、その動向を注視するとともに、引き続き裁量の余地がある事業を中心に、給付の水準と範囲が適正であるかなどを検討したうえで、必要な見直しを行う。

その他の分析欄

前年度より0.3ポイント増の14.2%となったが、依然として類似団体内平均を上回っている状況が続いている。特別会計内の下水道事業に係る会計が、令和2年度から企業会計(下水道事業会計)に移行したことにより繰出金の減少が図られたものの、独立採算で運営ができるよう経営改善を行い、一層の繰出金等の低減に努める必要がある。また、有形固定資産減価償却率の上昇が続いている本市では、今後施設の老朽化に伴う維持補修費の増加が見込まれるため、施設の統廃合及び民間移譲を早急に進める。

補助費等の分析欄

社会保障関係事業に要する経費の増(54.5億円→57.9億円)もあり、補助費等に係る経常収支比率は前年度より0.5ポイント増加した。依然として類似団体内平均を下回っているが、高齢化の進展により社会保障関係事業を中心に増加していくことが見込まれるため、経常的に補助している事業も含めすべての補助対象事業を精査し、有効性の低い事業の見直しや削減、廃止を進める。

公債費の分析欄

公債費全体として微増(38.3億円→39.0億円)したこともあり、前年度より0.7ポイント増加したため、類似団体内平均を上回った。近年の大型事業の集中により、今後はさらに増加する見込みである。そのため、引き続き償還年限や返済方式など発行方法を調整することで償還額の平準化や金利変動のリスクを回避しつつ、公債費の抑制に努めることで財政の健全性を維持していく。

公債費以外の分析欄

臨時財政対策債の減少等の理由により経常収支比率全体が大幅に悪化した影響を大きく受けており、前年度と比べて3.9ポイントの増加となった。扶助費や扶助費的な補助費等は縮減が容易ではない面があるものの、徹底した事務事業の見直しや総人件費の抑制とともに、多様な財源確保などの取組みにより歳入を確保することで、持続可能な財政運営を目指す。

目的別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2022年度)

議会費

労働費

消防費

諸支出金

総務費

農林水産業費

教育費

前年度繰上充用金

民生費

商工費

災害復旧費

衛生費

土木費

公債費

目的別歳出の分析欄

総務費は、住民一人当たり前年度と比較して13,893円減の58,330円となった。これは令和4年度よりふるさと納税によるふるさとづくり寄附金を基金に積み立て、翌年度の歳出に充当する運用ではなく、基本的に当該年度の歳出に充当する運用に変更し、ふるさとづくり応援基金積立金が5.5億円減少(6.5億円→1.0億円)したことが大きな要因である。商工費は、住民一人当たり27,320円で、前年度と比較して2,859円増加した。中津川西部テクノパークの整備事業が開始した(0円→2.1億円)ためであり、今後も増加もしくは高止まりすることが考えられる。教育費は、住民一人当たり前年度と比較して16,576円増の69,870円となった。これは令和5年度開校に向けて福岡小学校の建設事業が本格化した(4.6億円→12.6億円)したためである。災害復旧費は、住民一人当たり9,430円で、類似団体平均と比べて3.78倍まで膨らむこととなった。県内6番目に広い市域を持つことや木曽山脈や三河高原など山々に囲まれる地形の都合上、豪雨などによる土砂災害の復旧に多くの経費が必要な状況であると言える。

性質別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2022年度)

人件費

補助費等

災害復旧事業費

投資及び出資金

物件費

普通建設事業費

失業対策事業費

貸付金

維持補修費

普通建設事業費(うち新規整備)

公債費

繰出金

普通建設事業費(うち更新整備)

積立金

前年度繰上充用金

性質別歳出の分析欄

歳出決算総額は、住民一人当たり前年度と比べて6,931円の減少(578,259円→571,328円)となった。本市は市域が広い上に、中山間地に位置しているため過疎化が進んでおり、一定の行政サービスを保つために住民一人当たり換算の歳出は他の類似団体と比べて相対的に高くなる傾向にある。引き続き、効率的、効果的な事業の実施だけではなく、移住・定住施策の推進により、人口増を図ることにより一人当たりのコストを抑制していく。全体的に数値の違いはあるものの、類似団体平均と同様の推移を辿っている。その中でも本市の特徴として、普通建設事業費全体は横ばいに推移しているなか、新規整備や更新整備は増加傾向にあることが挙げられる。これはリニア開業後を見据えた社会基盤整備など、リニア開業までに投資的な施策を戦略的に展開しているためである。特に新規整備はその傾向が顕著であり、平成30年度と比べると住民一人当たり換算の歳出は29,911円の増加(16,342円→46,253円)と3倍程度に膨らんでいる。積立金は、住民一人当たり前年度と比較して16,543円の減(29,789円→13,246円)となった。これは令和4年度よりふるさと納税によるふるさとづくり寄附金を基金に積み立て、翌年度の歳出に充当する運用ではなく、基本的に当該年度の歳出に充当する運用に変更したためである。

実質収支比率等に係る経年分析(2022年度)

分析欄

実質単年度収支は依然としてマイナスであり、令和3年度の土地開発基金廃止に伴う財政調整基金への積立てなどが令和4年度はなかったため、3.96ポイント悪化する結果となった。しかし、財政調整基金の残高は増加していることから決算剰余金処分による回復はできていると言えるため、翌年度補正予算財源とする繰越金を確保しつつ、財政調整基金の取崩し額を減少させ、数値の改善に取り組んでいく。

連結実質赤字比率に係る赤字・黒字の構成分析(2022年度)

分析欄

駅前駐車場事業会計については料金収入などにより一般会計からの繰入金を要さない独立採算運営ができている。それ以外の全ての事業会計についても黒字となっているが、その黒字は一般会計からの繰入金により確保されたものである。今後も事業の見直しや効率化を図り、財政の健全化を図っていく。

実質公債費比率(分子)の構造(2022年度)

分析欄

元利償還金については、公債費負担適正化計画の「返す以上に借りない」を原則として新たな借金を抑制してきた結果、減少に転じていたが、令和元年度に大型事業が本格化し、起債件数が増加したことに伴い増加した。今後についても、起債予定が多数見込まれることから増加していく見込みである。公営企業債の元利償還金に対する繰入金が昨年度よりも減少しているものの、引き続き歳入・歳出両面にわたる行財政改革に取り組み、節度とメリハリの利いた財政運営に努める。

将来負担比率(分子)の構造(2022年度)

分析欄

将来負担比率の分子が前年度より18.0億円減少し、前年度に続き将来負担比率の発生はしていない状況となっている。一般会計等に係る地方債の現在高は、令和元年度に新衛生センター建設やこども園建設等、大型事業が本格化したことにより一時増加したが、令和2年度からそれらの元金償還が開始したことにより減少傾向にある。また、今後リニア岐阜県駅の開業に向けた社会基盤整備が本格化するため上昇傾向に転じることが予想される。充当可能財源等については、リニア中央新幹線まちづくり基金や公共施設整備運営基金等、将来の財政負担に備えた基金を計画的に積み立てているため、増加している。今後とも持続可能な財政運営を実現するため、計画的な地方債の発行により地方債残高をコントロールするよう努める。

基金残高に係る経年分析(2022年度)

基金全体

(増減理由)・基金全体の残高は財政調整基金の決算剰余金による積立額が取り崩しを上回ったため、令和3年度末よりも1,322百万円増の20,648百万円となっている(今後の方針)・将来の需要や必要性を見据え計画的な基金造成に努める。・財政調整基金については、財政の弾力性確保のために必要な一定水準の残高維持に努めることとしているが、今後リニア開業に向けその波及効果を最大限に活用するための大型事業が控えており、財政調整基金の残高は減少していく見込みである。・リニア中央新幹線まちづくり基金については、将来の財政負担を把握したうえで定期的な積み立てを行い、将来のまちづくりの骨格となる社会基盤整備を、計画に沿って前進させる。・公共施設整備運営基金については、毎年度300百万円の積み立てを行い、将来の公共施設の維持補修や更新に活用する。

財政調整基金

(増減理由)・財政調整基金は一般財源不足を補うため、また病院事業会計に対して資金不足の解消のため198百万円を繰り出しており、その財源として財政調整基金を充てることとしたため、令和4年度は1,298百万円取り崩すこととなった。その結果、令和4年度末残高は前年度決算剰余金からの積み立て2,800万百円及び運用に伴う利子の積み立て4百万円に対して取り崩しが1,298百万円であったため、前年度比1,506百万円増の6,669百万円となった。(今後の方針)・財政調整基金については、財政の弾力性確保のために必要な一定水準の残高維持に努めることとしているが、今後リニア開業に向けその波及効果を最大限に活用するための大型事業が控えており、財政調整基金の残高は減少していく見込みである。

減債基金

(増減理由)・増減なし。(今後の方針)・今後数年は多くの大型事業を実施予定である上、その後も公共施設の建て替えや大規模修繕等による起債予定が多数あるため、極力減債基金を積み、後年の負担を減らす。

その他特定目的基金

(基金の使途)・地域振興基金・・・市民の連帯の強化及び地域振興を図るための財源に充てるため・リニア中央新幹線まちづくり基金・・・リニア中央新幹線を活用したまちづくりの資金に充てるため・公共施設整備運営基金・・・公共施設を整備するとともに、施設の健全な維持管理に要する資金に充てるため・職員退職手当基金・・・市職員の退職手当の支給に要する財源に充てるため・しあわせづくり基金・・・健康づくりの推進、福祉活動の促進、快適な生活環境の形成等の資金に充てるため(増減理由)・リニア中央新幹線まちづくり基金については、リニア駅周辺土地区画整理事業の造成工事が本格化するなど多額の財政負担が後年に見込まれることから令和4年度は運用利子も含め502百万円の積み立てを行い、240百万円の取り崩しも含め、令和4年度末残高は3,493百万円となった。・公共施設整備運営基金については、毎年度300百万円の積み立てを継続しており、218万円の取り崩しをしたため、令和4年度末残高は2,481百万円であった。・職員退職手当基金は団塊の世代の退職に備えて運用利子も含め42百万円の積み立てを行い、3百万円を取り崩したことにより、令和4年末残高は1,806百万円となった。(今後の方針)・将来の需要や必要性を見据え計画的な基金造成に努める。・リニア中央新幹線まちづくり基金については、将来の財政負担を把握したうえで定期的な積み立てを行い、将来のまちづくりの骨格となる社会基盤整備を、計画に沿って前進させる。・公共施設整備運営基金については財政計画に基づき、毎年度300百万円を積み立てる。

公会計指標分析・財政指標組合せ分析表(2022年度)

有形固定資産減価償却率の分析欄

令和4年度の有形固定資産減価償却率は63.1%と類似団体内の平均程度であるものの、年々増加しており、大規模な施設の更新や処分の計画がないことから今後も公共施設等の老朽化が進むと考えられる。そのため、公共施設の老朽化に伴う改修・更新への新たな対策も必要となる。令和5年度に改定を行った市有財産(施設)運用管理マスタープランに基づき、施設の民間移譲、統廃合を進め、施設の維持管理経費の削減を行う必要がある。

債務償還比率の分析欄

将来負担額を公債費負担適正化計画に基づいて計画的に減らしてきたことで、債務負担償還費率は類似団体内平均値より低い結果となっている。しかし、しばらくはリニア開業に向け大型事業が集中する期間となり、債務償還比率は悪化傾向が続くと思われる。計画期間内の着実な事業実施に重心を置く中で、投資が必要な期間とその先を見据えた地方債発行額を適切にコントロールし、基金を計画的に積み立てる等、引き続き財政の健全化に努めていく。

分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析

引き続き将来負担比率は発生しておらず、類似団体平均値と比較して低い水準にある。これは公債費負担適正化計画に基づき、返す以上に借りないを原則とした取組によるものである。しかし、今後もリニア開業に向けて大型事業が集中する期間が続くため、地方債の発行・管理を適切に行っていく必要がある。また、有形固定資産減価償却率は上昇傾向にあり、市有財産(施設)運用管理マスタープランに基づき、施設の民間移譲、統廃合を進め、有形固定資産減価償却率の上昇を抑制していく必要がある。両指標の組み合わせで見ると、類似団体と同様に老朽化が進んでいるものの将来的な公共施設及びインフラ施設の更新に当たって将来の財政負担の余力は相対的に高いものと考えられる。

分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析

実質公債費比率は、前年度から0.1ポイント上がり、類似団体内平均値を上回った。実質公債費比率が増加した要因としては、令和元年度と比較し元利償還金が2.4億円増額したこと及び元利償還金に対する普通交付税算入額が2.8億円減額したことが挙げられる。本市では将来に向けた財政運営の指針とするため公債費負担適正化計画を策定しており、返す以上に借りないを原則とした取組を行っているが、現在はリニア開業に伴う大型事業が集中しており地方債発行が高い水準で推移していくことが予想されるため、地方債発行額を適切にコントロールし、公債費の状況を注視していく必要がある。また両指標の組み合わせで見ると、本市は類似団体内平均値と比較して将来の財政負担は相対的に小さく持続可能な財政状況にあるものの、財政の弾力性は低く実質公債費比率は今後悪化傾向が続くと思われることからより安定した財政運営のためには適切な地方債の発行・管理が重要となる。

施設類型別ストック情報分析表①(2022年度)

道路

橋りょう・トンネル

公営住宅

港湾・漁港

認定こども園・幼稚園・保育所

学校施設

児童館

公民館

施設情報の分析欄

類似団体と比較して、有形固定資産減価償却率が高くなっている施設は、橋りょう・トンネル、公営住宅、認定こども園・幼稚園・保育所、学校施設、公民館である。市有施設の半数以上が昭和41年度から平成2年度にかけて建設されたものであり、特に公営住宅については昭和40年代から50年代にかけて建設されたものが多いことから、有形固定資産減価償却率が高くなっている。学校施設については、福岡地区の3つの小学校が統合予定となっており、それによる償却率の改善が期待できる。また、令和3年度より類似団体内平均を超える結果となった橋りょう・トンネルは長寿命化修繕計画を策定しており、この計画に基づき適切な維持管理を行い、社会資本ストックとして、橋りょう・トンネル全体のライフサイクルコストの縮減と維持管理費の平準化を図っていく。類似団体と比較して、全体的に一人当たり延長・面積の数値がほとんどの施設で上回っているが、これは中津川市が他市に比べて広い市域を抱えているため、適切な行政サービスを行うためやむを得ない部分であると考える。しかしながら老朽化が進む全ての施設を維持管理することは難しいため、人口減少、少子化等の社会情勢を鑑みた適切な行政サービスとなるように市有財産(施設)運用管理マスタープラン等に基づき、計画的な維持保全と用途廃止を進めていく。

施設類型別ストック情報分析表②(2022年度)

図書館

体育館・プール

福祉施設

市民会館

一般廃棄物処理施設

保健センター・保健所

消防施設

庁舎

施設情報の分析欄

類似団体と比較して有形固定資産減価償却率が特に高くなっているのは図書館であるが、令和5年度に新たにオープンする複合施設へ図書館機能を移転予定であり、償却率の改善が期待される。図書館以外で有形固定資産減価償却率の高い消防施設については、一人当たりの面積も類似団体平均値を大きく上回っているが、その要因は平成17年に8市町村が合併して現在の市域になったことによるものと推測される。市有財産(施設)運用管理マスタープランや公共施設等総合管理計画に基づき、分団詰め所の統廃合を行うなど、消防施設全体の老朽化対策を進める。また、耐震改修を行った庁舎については、平成29年度に一時的に有形固定資産減価償却率が減少したものの、依然として類似団体平均を上回っている。多くの施設について、類似団体平均と相当、あるいはそれを上回る数値となっており、今後とも市有財産(施設)運用管理マスタープランや公共施設等総合管理計画に基づき、老朽化対策や用途の複合化、地域内での統廃合による効率的な施設配置を進めていく必要がある。また、施設の長寿命化と併せて防災力の強化も必要であることから、長期的な視野に基づく地震等の災害に備えた機能対策も計画的に実施することが重要である。

財務書類に関する情報①(2022年度)

資産合計

負債合計

1.資産・負債の状況

一般会計等において、資産総額は前年度末から4,784百万円の減少(△1.8%)となった。金額の変動が最も大きいものはインフラ資産であり、減価償却による資産の減少が土地の増加(258百万円)や工作物の増加(1,383百万円)等を上回ったことから6,579百万円減少した。一般会計等において、負債総額は前年度末から265百万円の減少(△0.7%)となった。金額の変動が最も大きいものは地方債であり、借入額が償還額を下回ったことが要因と考えられる。令和元年度以降計画的な地方債発行により負債総額は減少しているものの令和5年度以降は、ひと・まちテラスや新福岡小学校の建設完了に伴う地方債発行により負債額が増加してくると予測されることから、今後さらに適切な地方債発行と償還のコントロールの継続に努めていく。

純経常行政コスト

純行政コスト

2.行政コストの状況

一般会計等においては経常経費は43,064百万円となり、前年度とほぼ同額であった。補助金等の移転費用は14,804百万円となり、昨年度比636百万円の減少(△4.1%)となった。一方人件費等の業務費用は28,260百万円となり、昨年度比341百万円の増加(1.2%)となった。業務費用と移転費用の割合は業務費用の方が大きく、経常経費の65.6%となっている。中でも減価償却費や維持補修費を含む物件費等が大部分を占めている。これは保有施設が多く、老朽化も進んでいることが要因であり、引続き市有財産(施設)運用管理マスタープランに基づく施設の統廃合や民間譲渡等を進め、維持補修費などの圧縮を行い今後の物価高騰、人件費や社会保障給付の増加に対応する必要がある。

本年度差額

本年度末純資産残高

本年度純資産変動額

3.純資産変動の状況

一般会計等においては、税収等の財源(37,390百万円)が純行政コスト(41,921百万円)を下回ったことで、本年度差額は△4,531百万円となり、純資産残高は前年度か4,519百万円の減少(▲2.1%)となった。前年度の差額は△4,384百万円であり、147百万円ほど乖離が大きくなった。また、依然として純行政コストを財源だけで賄いきれていない状況であるため、国・県等の補助金の積極的な獲得やふるさと納税の推進などの自主財源確保に努めていく。

業務活動収支

投資活動収支

財務活動収支

4.資金収支の状況

一般会計等においては、業務活動収支は5,194百万円となり、前年度比96百万円の減少(△1.8%)とほぼ同額であった。投資活動収支は△5,186百万円となり、前年度比1,103百万円の減少(△27%)となった。主な要因は前年度廃止した土地開発基金の影響により基金取崩し収入が1,833百万円減少したことである。財務活動収支は、地方債借入額が償還額を下回ったこと、全体・連結会計については下水道事業会計が地方債残高の縮減に取り組んでいることから、どの会計もマイナスの数値となった。しかしながら、一般会計等においては大型事業の集中により一時的に借入額が償還額を上回ることが予測されるため、財務活動収支の推移を注視していく必要がある。

財務書類に関する情報②(2022年度)

①住民一人当たり資産額(万円)

②歳入額対資産比率(年)

③有形固定資産減価償却率(%)

1.資産の状況

住民一人当たり資産額は、合併以前に旧市町村毎に整備した公共施設が多く現存すること及び、市域が広く道路等のインフラ資産が多いため、類似団体平均値を上回っている状況である。また、老朽化した施設が多く減価償却による資産減少の影響が大きく、人口が947人減少したにもかかわらず一人あたりにして2万円減少した。将来の公共施設等の修繕や更新等に係る財政負担を軽減するため、市有財産(施設)運用管理マスタープランに基づき、施設の民間譲渡や統廃合を進めており、令和元年度から令和10年度までに施設の維持管理費を6億円削減するよう取り組んでいる。歳入額対資産比率については、歳入総額が49,288百万円、資産合計253,920百万円と前年度と比較し減少しているが、0.04年増加する結果となり、依然として類似団体平均を上回っている。

④純資産比率(%)

⑤将来世代負担比率(%)

2.資産と負債の比率

純資産比率については、ほぼ横ばいとなり、類似団体平均を上回っている。将来世代負担比率は、前年度と比較し0.6ポイントの増加となったが、世代間の負担のバランスから見ると、将来世代の負担は類似団体平均と比較して少ない。しかし、純行政コストが税収等の財源を上回ったことから純資産は前年度末から4,519百万円減少(△2.1%)した。今後も大型事業の順次完了に伴い地方債残高は増えることが予測されるため、ふるさと納税の増収などによる財源確保の強化、施設の統廃合や民間譲渡による維持補修費等の行政コストの削減に努め、将来世代への負担を抑制する必要がある。

⑥住民一人当たり行政コスト(万円)

3.行政コストの状況

住民一人あたり行政コストは、55.6万円となりほぼ横ばいとなった。本市は、施設保有数が多いことにより多額の維持管理費が嵩んでいることが影響し、依然として類似団体平均を上回る結果となっている。引続き市有財産(施設)運用管理マスタープランに基づく施設の統廃合や民間譲渡等を進め、維持補修費などの圧縮を行い今後の物価高騰、人件費や社会保障給付の増加に対応する必要がある。

⑦住民一人当たり負債額(万円)

⑧基礎的財政収支(百万円)

4.負債の状況

地方債の借入額が償還額を下回ったことにより、負債総額は前年度から26,453万円の減となったが、人口減少により住民一人当たり負債額は0.3万円増加となった。今後、大型事業の順次完了により地方債借入額が償還額を上回ることが見込まれ、負債額の増加傾向となることはやむを得ないと捉えているが、入札や償還年数の検討による利率の低減を図ることや、交付税措置のある有利な地方債を活用し、将来世代の負担軽減に務める。

⑨受益者負担比率(%)

5.受益者負担の状況

受益者負担比率は3.9%とほぼ横ばいとなった。類似団体との比較では平均を若干下回っており、行政サービス提供に対する直接的な負担の割合は比較的低くなっている。今後も、適正な受益者負担を確保できるよう、公共施設等の使用料や減免の見直しに向けて取り組んでいく。

出典: 財政状況資料集, 統一的な基準による財務書類に関する情報,