地域において担っている役割
本県の精神医療の中核的機能を担う病院として、民間病院では対応困難な触法患者や治療抵抗性の患者を多く受け入れており、また、結核合併症患者の受入、離島・へき地の精神医療への協力及び支援を行い、地域医療の確保に努めている。精神科救急については、精神科救急医療体制当番病院として、平日夜間及び土日祝日の救急患者の受け入れを行い、精神保健福祉の充実を図っている。新型コロナの感染拡大を受けて、精神疾患を有する新型コロナの感染症患者の受け入れを行っている。
経営の健全性・効率性について
新型コロナの感染拡大に伴い1病棟を休床し、コロナ病床を確保したことによる患者数の減少により入院収益・外来収益が大幅に減少し、②医業収支比率は低下した。一方、国による空床確保料等のコロナ対応に伴う補助金により、医業外収益が増加したことで①経常収支比率は増加した。③累積欠損金比率及び⑦職員給与費対医業収益比率は、医業収益の減少に伴い増加した。④病床利用率は、地域移行推進に加え、コロナの影響による入院患者数の減少により下落し、類似病院の平均値を下回っている。⑤入院患者1人1日当たりの収益及び⑥外来患者1人1日当たりの収益については、微増となっている。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は改良工事等の実施により横ばい傾向となっている。類似病医院平均値や全国平均と比較して高い水準にある。器械備品減価償却率は、類似病医院平均値や全国平均と比較して高い水準にあるが、機器の更新を行っており、令和2年度は減少している。1床当たり有形固定資産は類似病医院平均値や全国平均と比較し、低い水準にある。建物は築30年経過しており、経年劣化が全体的に進行している。設備機器及び配管類は老朽化による劣化のため、大規模な改修を検討する必要がある。
全体総括
■課題・コロナと非コロナの医療の両立を図る・高い水準にある職員給与費対医業収益比率・コロナ収束後に向けた取組■今後の対策と方向性1収益の確保・新型コロナ関連の臨時的診療報酬情の加算・入院単価の高い急性期病棟の効率的運用・障害者歯科治療の拡充2費用の縮減・業務内容の見直し等による時間外勤務の縮減・材料の低廉購入3今後の取組・地域に必要な精神科医療の確保。・民間の精神科病院で対応困難な医療等、県内精神科医療の中核病院の役割を担う。・本県の精神保健医療分野における公立精神科病院としての今後のあり方を検討していく