地域において担っている役割
府中市立湯が丘病院は、昭和36年の病院開設以来、多数の入院患者及び外来患者の治療にあたるとともに、市内の他の病院への医師派遣、精神保健相談、講演活動、研修医又は学生の受け入れにも取り組み、広島県の東北部地域の精神科医療において重要な役割を果たしている。
経営の健全性・効率性について
①から経常収支は黒字、②の本業である医業収支比率も90%後半を維持しており、類似病院のそれを大きく上回っていることから、一般会計からの繰り入れに大きく依存しない経営ができていることが窺われる。次に④の病床利用率は下降傾向にあり、あわせて⑤及び⑥の収益が横ばい傾向で、類似病院のそれを大きく下回っている。さらに、⑦及び⑧も同様である。これらのことから、医業収支比率が類似病院のそれを大きく上回っている理由は、医業費用をかなり抑制しているためと推察され、その意味では比較すると効率的な経営が行われてきたと言うことができる。
老朽化の状況について
①の有形固定資産減価償却率及び②の機械備品減価償却率については、どちらも類似病院のそれを大きく上回っているとともに上昇の傾向にある。次に、③の1床当たり有形固定資産については、類似病院のそれを大きく下回り、横ばい状態にある。これらのことから、施設及び機械に係る設備については、確実に老朽化が進んでおり、近々にこれらの更新に着手しなけらばならないことが窺える。さらに、③の結果は、過剰な投資を行っていないとも読み取れるが、①及び②の状況と併せ考えると必要な投資を控えていたと読み取るのがが妥当と思われる。
全体総括
④、⑤及び⑥から今後の病院収益の見通しについて厳しい状況が予想される。その一方で、施設の老朽化に伴う新たな設備投資に係る多大な費用の支出が必要となる。収益の見通しに不安を抱えながらの設備投資となることが予想されることから、今後は、収益の改善のために、単価及び病床利用率の向上並びに一層の費用の抑制に努めるとともに、適宜適切な設備投資を計画的に進めていく必要がある。