経営の健全性・効率性について
本市は平成30年度から地方公営企業法を適用し,公営企業へと移行した。令和2年度において法適用後3年目を迎える。①経常収支比率人口密度が低い地域であり,使用料収入の増加があまり見込めず経常収益が伸びていない。②累積欠損金比率欠損金が生じている主たる要因としては,使用料収入等の営業収益が少額であることが考えられる。③流動比率類似団体平均値より高い水準となっているが,今後も事業計画に基づいた管渠整備を続けると流動負債の増加が見込まれる。④企業債残高対事業規模比率令和2年度の決算状況調査表に誤りがあったため,当該数値は前年度との比較上大きく乖離している。訂正前29134.69%訂正後27903.87%また,本事業については供用開始から年数が経っておらず,事業計画に基づき管渠の整備を続けているところである。したがって,今後も企業債の借入を行うため,企業債残高の割合は大きくなると思われる。⑤経費回収率及び⑥汚水処理原価について地理的要因により資本費が割高であり、人口密度が低くく、今後は人口減少も見込まれるため有収水量及び下水道使用料収益が減少し、経費回収率の低下や汚水処理原価の増加が考えられる。⑦施設利用率本事業については,隣接する矢掛町の処理施設で汚水処理を行っている。⑧水洗化率接続世帯の増加に伴い,今後水洗化率は増加すると考えられる。しかしながら,接続対象となる人口・世帯の減少及び高齢化が進んでいるため,伸びは緩やかなものになると考えられる。
老朽化の状況について
供用開始から9年程度しか経過しておらず,老朽化等の不具合は確認されていない。今後も定期的な点検管理を行っていく。
全体総括
特定環境保全公共下水道事業は,専ら公衆衛生の向上・公共用水域の水質保全が目的であり,公共性が非常に高い事業である。本事業は,先進的な取り組みとして矢掛町との広域処理で整備しているが,人口構造や地理的要因により,水洗化率や有収水量の著しい伸びは期待できない。したがって,経営の健全性と公益性のバランスがとれるような事業運営を行っていく必要がある。