経営の健全性・効率性について
維持管理に係る費用の財源は、一般会計からの繰入金はなく、基本的に流域関連市町からの負担金(下水の流入量に応じて徴収)のみであり、地方債の償還金の財源も同様である。地方債の残高については、初期投資に係る地方債の償還は既に終えており、適正な水準にある。施設利用率については、施設を処理量に見合った規模に止めており、妥当な範囲にある。水洗化率(接続率)が低調であり、接続率向上の対策を講じ、スケールメリットによる汚水処理原価の低減を図っていく必要がある。
老朽化の状況について
昭和59年の供用開始から30年以上経過しており、多くの施設で劣化が見られる。このため、施設の重要度、経過年数を踏まえて点検調査を実施し、対策が必要な施設については改築等を行ってきた。管路についても、法定耐用年数は超えていないものの劣化は進行しており、定期的に実施する点検調査により、近いうちに機能が損なわれる可能性があると評価された管路について、適宜改築を行っている。なお、改築にあたっては、「取り替える」のではなく、「劣化が軽微のうちに補修し、長持ちさせる」という長寿命化の手法により、改築に係るコストの低減に努めている。
全体総括
地方債の償還金を含め管理運営に係る経費については、流域関連市町からの負担金で賄える状況を維持しており、現状としては概ね健全な経営状況と言える。施設が法定耐用年数を迎える約20年先以降に大規模改築を控えており、この改築による地方債の起債額(償還金)の増加も見越して、平準化を図りながら計画的に地方債の償還を行っていく必要がある。