収益等の状況について
令和2年度の本事業においては、11月まで指定管理者が不在で町が直営で施設の維持管理のみを行い宿泊事業を休止していたこと、12月以降は指定管理者による運営に移行したものの令和3年1月中旬から2月末までの緊急事態措置により宿泊事業の自粛を余儀なくされたことから、収益状況を示す指標は例年と大きく異なる結果を示している。そうした状況下にあって他会計補助金比率においては、令和元年度が経営撤退した前指定管理者への経営支援、令和2年度は宿泊事業休止期間における施設維持管理経費等に充当するため一般会計から多額の繰り入れを行ったことで全国平均を大きく上回る結果となっており、一般会計に大きく依存している。
資産等の状況について
昭和63年の施設建設から約30年が経過して老朽化や陳腐化が顕著である。これまでから適宜改修を行っているほか、現在は町と指定管理者において改修の費用負担区分を明確にし、全ての改修は指定管理者が実施したうえで町が負担すべき費用について指定管理料をもって町が負担する仕組みを取り入れている。この上限額は指定管理期間である5年間において上限50,000千円としている。こうした仕組みにより機動的な改修や改修費の増大抑制は可能となったが、上限額を超えるような大規模改修が発生した場合は対応が難しい状況である。効果的な改修や資産の適正管理を行ううえで、指定管理者とともに真に必要な投資を見極める必要がある。
利用の状況について
過去5年間における本町における宿泊需要は一定程度あるものの、令和2年度の本事業においては「1.収益等の状況」で記載のとおり特異な年となったため、比較分析することが困難である。今後、コロナ禍の影響により本事業がどの程度圧迫されるか予断を許さないが、観光を取り巻く状況をよく観察し、観光需要に即した対策を講じるとともに、本事業の目的に縛られず、例えば合宿誘致やコワーキングスペースとしての空き室レンタルなど、多目的な開放も検討する必要がある。
全体総括
コロナ禍の影響により本町のみならず全国的に観光需要の冷え込みは顕著であり、加えて本事業においては指定管理者の交代により不安定な事業展開となるなど令和2年度は非常に厳しい状況で推移することとなった。途中、施設のあり方について様々な見地から検討を行ったが、宿泊だけでなく地域活性化施設としても重要であるとの認識から再度指定管理制度を採用することとし、民間事業者に運営を任せることとした。本事業は依然として厳しい状況にあるが、広く理解を求める努力を継続するとともに、指定管理者と協調して効率的かつ安定的な事業展開を図る必要がある。