経営の健全性・効率性について
①経常収支比率及び⑤料金回収率が100%を下回っていることから、給水費用が料金収入等による給水収益を上回っている。地理的不利な点から投資規模が過大となり維持管理費に比例している。②累積欠損金は会計基準の改正による長期前受金の一括収益により減少するも、改正に伴い繰出基準による他会計補助金が減額しているため、増加は避けられない。③流動比率は会計基準の改正による企業債が負債に追加されても大幅に変化していない。④企業債残高対給水収益比率は新規発行の企業債を抑えていたため減少傾向にあり、類似団体と同等の数値に近づいている。ただし今後では老朽化した管路の更新により、企業債の発行が増加する可能性がある。⑥給水原価は、管路更新工事等未実施であるが類似団体と比較して高く、維持管理費が増大であることが伺える。原因としては、山間地のため設備が投資多くなり減価償却費が過大となり、送水コストが大きくなっていることが考えられる。⑦施設利用率及び⑧有収率は類似団体と比較して高く、施設の稼働状況は適正な範囲と言える。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率が56.17%で、施設の老朽化の進行が見られる。耐用年数の経過により②管路経年化率が増加している。以後、対応年数が経過する管路は増加する見込みである。③管路更新率は道路改良に伴う移設工事等の実施が延期されたため未実施となっており、将来迎える耐用年数経過時に向けて更新の計画をしておく必要がある。
全体総括
山間地という不利な立地条件であり住居が点在しているため、送水にかかるコストが都市部など人口密度が高い地域に比べ割高になるのが避けられない状況である。また、過疎化による人口減少が加速化し、今後の給水収益は減少を見込まれる。経営戦略及びアセットマネジメントを策定により事業統合等、長期的な視野のもとで計画的な経営に取り組み、経営改善に努める。