地域において担っている役割
精神医療のセンター機能、民間病院対応困難患者の受入機能、臨床研修指定病院、医療型障害児入所施設、医療観察法に基づく指定通院医療機関、医療観察法に基づく指定入院医療機関、日本医療機能評価機構認定病院、大阪府災害拠点精神科病院、依存症治療拠点機関、精神科緊急病院指定病院、応急入院指定病院、特定診療災害医療センター
経営の健全性・効率性について
①経常収支比率:コロナにより医業収益は前年度比約2.8億円減少したが、コロナ補助金により補助金収益が約5.3億円増加したため、営業収益では前年度比約2.2億円増加となり、経常収支比率は前年度と同水準となった。類似病院平均値との比較では、1.9ポイント上回った。②医業収支比率:大阪府の要請に応じ、コロナ病床を設置し、令和2年11月には、1病棟をコロナ専用病棟(12床運用、38床休床)とした。また、感染拡大防止のため、外泊・外出制限等療養制限を実施したことにより、退院が促進される等した。これらにより平均在院日数の短縮(対前年度比:▲17.4日)、延べ入院患者数の減少(対前年度比:▲1.4万人)となり、医業収益が悪化し、前年度を大幅に下回った。類似病院平均値との比較では、1.6ポイント上回った。③累積欠損金:発生していない。④病床利用率:コロナ専用病棟の設置及び平均在院日数が短縮(対前年度比:▲17.4日)したことにより、病床利用率が低下した。類似病院平均値との比較では、安定して上回っている。⑤入院患者1人1日当たり収益:入院料が減額となる外泊の減少等で、入院単価は上昇した。類似病院平均値との比較では、約1,000円上回った。⑥外来患者1人1日当たり収益:電話再診に伴う通院精神療法の減少や、作業療法の中止に伴う患者の減少等により外来単価は低下した。類似病院平均値との比較では、850円下回った。⑦職員給与費対医業収益比率:コロナ病床の設置に伴う宿直の増加等により給与費は前年度より増加したが、コロナ補助金収益の増加により営業収益が前年度を上回ったため、前年度と同水準となっており、類似病院平均値よりも低く推移している。⑧材料費対医業収益比率:後発医薬品の採用や、医薬品・診療材料の集約化など調達方法の見直しにより、材料費の縮減に努めており、類似病院平均値を下回って推移している。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率:平成24年度に新病院が完成してから大規模な設備更新がほとんど発生していないため年々上昇しているが、類似病院平均値よりも低く推移している。②器械備品減価償却率:平成30年度末の電子カルテの更新後、大規模な設備更新がほとんど発生していないため前年度より上昇しているが、類似病院平均値よりも低く推移している。③1床あたり有形固定資産:平成30年度に器械備品の更新が終わったため、類似病院と同水準となっている。
全体総括
令和2年度は、コロナの影響により、特に経営の健全性・効率性の項目において、類似病院との単純な比較は困難である。コロナ補助金の影響を受けない医業収支比率では、類似病院を1.6ポイント上回ったものの、前年度を大幅に下回ったため、今後、コロナによる患者の受診動向の変化を見据えながら、依存症や認知症治療等、社会ニーズに応える取り組みを強化し、病床利用率や診療単価の向上による収入の増加を図り、安定的な経営の継続を図る必要がある。