経営の健全性・効率性について
本市の下水道事業の経営は、単年度の収支では、健全性・効率性については適正に維持できています。①経常収支比率は100%に達していませんが、これは総収益の中に地方債償還金に充当すべき地方債(資本費平準化債)の収入が含まれていないことによるもので、単年度の収支は黒字を維持しています。④企業債残高対事業規模比率が類似団体平均値よりも低いのは、平成6年の関西国際空港の開港に向け、多額の事業投資による地方債(国等からの借金)を発行してきたにもかかわらず、食品コンビナートやりんくうタウン内などに大口企業が多数存在するため、類似団体よりも下水道使用料の収入が多いことによるものです。⑤経費回収率は100%を超え、下水道使用料で回収すべき経費はすべて賄えており、単年度では類似団体よりも良好な経営状況となっています。⑥汚水処理原価が平均値より高くなっているのは、主に平成26年4月の税率変更による消費税納付額及び流域下水道維持管理費の増加によるものです。⑦施設利用率は、本市の下水道排水が貝塚市二色浜の流域下水道の処理場で処理されているため、数値は表示されません。
老朽化の状況について
本市の下水道事業は、平成3年度に供用開始しており、事業開始が遅かったことなどから、令和2年度末の下水道普及率は41.5%と大阪府内でも最低の水準となっています。また、同様の理由で老朽化した下水道管は現在のところほとんどありません。③管渠改善率は、下水道管の更新延長が微小なため、数値は表示されません。
全体総括
本市の下水道会計は、平成9年度から赤字に転落し、平成16年度で約38億円まで赤字額が増大しましたが、経営健全化計画に基づき、3回の料金改定による収入の確保や段階的な人員の削減及び事業費の抑制により、累積赤字の縮小に取り組んできました。また、平成28年度には、将来にわたって安定的に事業を継続していくための中長期的な経営の基本計画である「経営戦略」を策定し、平成30年度決算では累積赤字を解消しています。令和2年度より企業会計に移行し、より透明性の高い会計処理を行うことにより、自らの経営状況を的確に把握し、より効率的で持続可能な事業運営を行うとともに、令和2年度に策定した下水道事業経営戦略に基づき、健全経営の範囲内で建設事業費を増加し、普及率の向上を目指します。