経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率は、費用の削減等により年々高上している傾向にあるものの、使用料収益で償還金が賄えておらず、一般会計より繰入ている。今後、元金償還額の増加が見込まれるため、より一層の経費削減等が必要である。④企業債残高対事業規模比率は、地方債残高の減少と料金収入の増加により改善が図られている。しかし、今後、施設の老朽化対策事業や処理場の統廃合事業により企業債発行額の増加が予想されるため、計画的な事業執行が必要である。⑤経費回収率は、年々改善されており、償還金利子の減少と有収水量の増加が大きな要因となり向上し、2年連続で全国平均値及び類似団体平均値を上回っている。⑥汚水処理原価は、4年連続で下がっており、過去5年で最低値となった。理由は⑤経費回収率と同じである。⑦施設利用率は、昨年度を2.97%下回り、全国平均及び類似団体平均値以下となっており、施設能力が排水需要を上回っている。⑧水洗化率は、管渠布設工事の完了に伴い新規加入があったことにより増加となった。しかし、類似団体・全国平均値以下であり依然として低水準である。
老朽化の状況について
●管渠改善率本市の下水道は、古いもので昭和58年に供用開始をしており、平成25年度に30年が経過したものがあるが管渠の耐用年数は50年であることから、現時点では修繕箇所はなく健全といえる。平成29年度から処理場の統廃合にかかる工事等を開始した。今後も引続き統合する処理場を優先に機械電気設備等の長寿命化を図ると共に、資産台帳整備が完了となったことから、ストック化を推進し計画的施設更新や延命等に取り組む必要がある。
全体総括
本市の特定環境保全公共下水道事業では、平成29年度から組織再編や公金徴収業務の民間委託を行い経営を健全化したことから、費用の削減や収納率が向上し、多くの項目で改善が見られた。しかし、依然として事業規模に対し使用料収入が見合わず一般会計繰入金で賄っていること、排水需要に対して過大な施設を有しており、経営状況は良好ではない。今後は、令和2年4月より地方公営企業会計へ以降することから、固定資産データの活用や長寿命化計画に取り組むなど、より一層財政収支の適正を図り経営の健全化を図ることが求められる。そのため、平成30年度策定した「北杜市上下水道経営基本計画」に基づき、財政の健全化を図るとともに、持続可能な事業運営に努める。