経営の健全性について
①本事業は天候に左右される事業である。経常収支比率では、平成28年度の経常収支が目標である100%以上となっていないのは、8月下旬から9月全般にかけて、台風の接近、秋雨前線の停滞による悪天候の影響により、利用客が減少したことが影響している。平成26年度も同様の理由である。②営業収支比率は、経常収支比率と同様で、悪天候の影響により、利用客が減少したことが影響している。③流動比率では、平成25年度から平成27年度にかけて、流動資産(現金預金等)の減少を原因とする若干の右肩下がりの傾向にあったが、平成28年度は回復している。④累積欠損金比率は、平成26年度及び28年度の数値の原因は、上記①のとおりである。⑤利用者1回当たり他会計負担金額は、本事業は他会計からの繰入額がないため0%である。⑥利用者1回当たり運行経費は、平成26年度及び28年度以外では、利用運賃とほぼ同額である600円前後を推移しているものの、平成26年度及び28年度は上記①の理由により高い数値となっている。⑦本事業は他会計からの繰入額がないため、他会計負担比率は0%であることから、独立採算が営まれている。⑧企業債残高対料金収入比率は、企業債の借入れを行っていないため0%である。⑨有形固定資産減価償却率は、バス車両の買換え更新を近年行っていないため、公営企業平均値と比較すると若干高い傾向となっている。今後は計画的に更新していく必要がある。
経営の効率性について
前述したとおり、本事業は天候に左右される事業であるため、平成26年度及び平成28年度は天候不良による利用者数の減少により、全ての指標で影響が出ている。①走行キロ当たりの収入では、平均値と比較すると高い数値であり、効率的な運行となっている。②走行キロ当たりの運送原価については、平均値と比較すると高い数値である。これは本事業の運行場所が山岳地帯であり、運行期間が6月下旬から11月上旬と通年運行ではなく、1日の運行回数も4便と規制されているため、効率的な運行となっていないと考えられる。③走行キロ当たりの人件費についても、上記②と同様の理由で、効率的な運行となっていない。④乗車効率については、元より便数の規制もあり、また、利用者のニーズに即したダイヤ改正を行ったことにより、平均値より高い数値となっている。
全体総括
本事業は、村民交流のための事業として開始されたものであり、国立公園内を走るため、環境に考慮した運行を行うよう、環境省から特別に許可を得て行っている事業である。また、運行経路は、険しい山岳道路であり、厳しい山岳気象や近年のゲリラ豪雨、台風の影響による林道の通行止め等、天候不順の日が多いと利用者数は激減するといった、非常に天候に左右されやすい事業である。今後は、サービスの安定的な継続と、老朽化するバス車両の計画的な更新を図るため、経営の現状や課題等を把握し、経営の健全化へ取り組んでいく。