経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は黒字を示しているが、一般会計から赤字補てん分の補助金を繰入れることで収支の均衡を図っている。②累積欠損金比率は発生していない。③流動比率は、平成25年度までは100％を上回り、支払能力が安定していることを示していた。しかし、会計制度見直しによる借入資本金等の表示区分の変更により、平成26年度は大きく落ち込む結果となった。これは、企業債償還額を考えると、支払能力が安定しているとは言えない状況であることを示している。償還の原資をどう得るか、今後検討と対策が必要である。④企業債残高対事業規模比率は、類似団体平均値と比べると高く、企業債残高の規模が大きいと言える。現在は、建設改良に伴う企業債のほか資本費平準化債も借入れており、企業債残高は減らない。⑤経費回収率は約93％で、不足分を一般会計補助金で賄っている状況である。今後料金改定や経費削減といった対策が必要である。⑥汚水処理原価は約150円で、類似団体平均値と比べると低い原価となっている。これは、九頭竜川流域下水道事業により終末処理場等を有さないため、維持管理経費が少ないことが要因の一つと考えられる。⑦施設利用率は、対象となる終末処理場が無いため数値は発生しない。⑧水洗化率は、平成26年度末で90.2％であるが、今後も下水道の整備を進めていく予定であり、徐々に100％に近づくものと考えられる。
老朽化の状況について
①有形固定資産原価償却率は、平成26年度決算においては会計制度見直しにより減価償却累計額が増えたため、大きく膨らんでいる。平成26年度末の数値は35％となっており、資産は老朽化していないと言える。ただ、資産区分ごとにみると、機械及び装置の中には償却終了したものや、それに近づくものがあり、こうした資産については長寿命化対策に取り組んでいる。②管渠老朽化率は、法定耐用年数を超えた管渠が無いため発生していない。③管渠改善率は、改善した管渠が無いため発生していない。
全体総括
現在下水道普及率は90.8％であり、今後も建設を推進していく予定である。下水道への新規接続世帯が増えることで料金収入も増加することが考えられるが、それ以上に、近年の人口減や節水意識の高まりにより有収水量が減り、料金収入は減少することが推測される。また、建設費に多額の地方債を充当しているため、公債費が増加し、赤字額の増大が懸念される。下水道事業は、独立採算をもって企業経営することが原則である。本市の経営健全化のためには水洗化を推進し、下水道使用料の収入をできる限り向上させ、支出では経費削減に努め、それでもなお不足する分については使用料の値上げを行うことが必要であると考えている。
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