経営の健全性・効率性について
当市は、管路整備済みの地域でも、地下水を利用する市民が多いため、他自治体に比べて、極端に給水量が少ないという特徴がある。①経常収支比率は概ね100%で推移しており、②累積欠損金もなく、健全な経営状態にあるといえるが、経常収益の約37%を一般会計繰入金(補助)に依存しており、経常費用の削減に努めるとともに、水道加入者の増加に努める必要がある。③流動比率は平均値を大きく超えている。今後の施設更新に備え、引き続き内部留保資金を確保する必要がある。なお、H25年は、工事費未払金(分母)が少なかったため、高率となっている。④企業債残高対給水収益比率については、近年、幹線や拠点避難所などへの管路拡張整備を行っていることから、平成32年度まで借入が増加する見込みのため、当面現水準が継続することが見込まれる。⑤料金回収率は、人件費、減価償却費等の固定費が影響して、⑥給水原価がかさむことから、平均値を下回っている。⑦施設利用率⑧有収率ともに平均値より低下傾向にある。今後は、給水人口の減少に伴い給水量、配水量ともに減少することが予想されることから、施設の更新時には統廃合やダウンサイジングを検討する必要がある。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は逓増しているが、当市の上水道の創設は昭和54年であり、②管路経年化率が0%を示すように、現時点で法定耐用年数を超えるものは少ない。③管路更新率は、近年、重要な配水本管の更新(耐震化)を進めているため類似団体平均値と同水準となっているが、②管路経年劣化率が低いことから更新にかかるものではなく耐震化のため計画的に行っているものである。しかしながら、管路以外の施設も含めて今後の施設更新ピーク時期に負担が集中しないよう、適切な修繕による延命化を図るとともに、現施設の安全性を考慮して、今までどおり計画的な施設の更新を行う必要がある。
全体総括
当市は、地下水豊富な土地柄のため、市街地の多くの市民が、地下水を利用した自家用井戸を保有し、生活用水としてきた。このため、上水道の創設の経緯は市街地上流で大規模な井戸枯れに端を発し、創設年度は昭和54年と他の自治体と比較して新しい施設である。整備済み区域も水質難地域や主要幹線整備地域などの一部に限られている。一方で、市の施策として、災害時の拠点避難所などへの管路整備や管路の耐震化を進めているが、自家用井戸を保有しているため上水道の加入率の向上には繋がっていないのが現状である。現在、一般会計からの繰入により経営の健全性は保たれているが、今後施設更新のピークを迎えるに当たり、一般会計繰入金に過度に依存しないよう、給水収益の増加や経常費用の削減、計画的な施設の更新に努め、健全経営を堅持していく。