経営の健全性について
横浜市では、これまでの経営改革の成果により、「自主自立の経営」の持続的な基盤を確立しましたが、令和2年度は年間を通じて新型コロナウイルス感染症の影響を受け、指標が全体的に悪化しています。①経常収支比率は、新型コロナウイルス感染症の影響により、乗車料収入が前年度比で26.1%減少(敬老パス等の特別乗車証収入除く)となったことから、大幅に悪化し、100%を下回りました。②営業収支比率は、①の経常収支比率と同様の理由により大幅に悪化し、100%を下回る状況が続いています。③流動比率は、新型コロナウイルス感染症の影響による乗車料収入の減少に伴い、現金収入が低下したものの、200%程度を維持しており、短期的な支払能力については健全性を維持しています。④累積欠損金比率は、新型コロナウイルス感染症の影響により過去最大級の当期純損失となったことから欠損金が生じ、比率が悪化しています。⑤新型コロナウイルス感染症の影響により利用者数が減少した一方、他会計負担金に大きな変動がなかったため、利用者1回当たり他会計負担額は上昇していますが、平均値と比べ低い傾向にあります。なお、横浜市では、他会計からの補助金としていわゆる赤字補填のための補助金の繰入は行っていません。⑥新型コロナウイルス感染症の影響により利用者数が減少したことから、利用者1回当たり運行経費は上昇していますが、平均値と比べ低い傾向にあります。⑦任意補助金に頼らない、自主自立の経営を持続していることから、他会計負担比率は、平均値と比べ低い傾向にあります。⑧企業債残高対料金収入比率は、新型コロナウイルス感染症の影響により乗車料収入の減少や収入減を受けて平年より多額の企業債を発行したものの、これまで企業債の発行を抑制してきたことから、平均値と比べ低い傾向にあります。⑨有形固定資産減価償却率は、バス車両の取得台数が多かったことから低下しています。
経営の効率性について
①及び④については、新型コロナウイルス感染症の影響による利用者数の減少が数値に直結するため、過年度に比べ効率性は悪化しています。①走行キロ当たりの収入、②走行キロ当たりの運送原価、③走行キロ当たり人件費及び④乗車効率のいずれも、運行エリア等諸条件が異なることから単純比較はできないものの、平均値より高い傾向にあります。なお、横浜市では、民間事業者と同水準の給料表を導入しています。
全体総括
全体の指標から、横浜市の経営状況はおおむね健全な状態であると考えられます。これまでの自主自立の経営の成果により、新型コロナウイルス感染症の影響を加味しても、短期的には事業の健全性は維持できる見込みです。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響による「新しい生活様式」に代表されるテレワークの定着などによって、お客様のご利用がコロナ禍以前の水準まで回復することは見込みづらい状況です。こうした影響が長期化することも想定しながら、支出の見直しや抑制、さらなる効率的な経営を計りつつ、今後も市民の皆様に安全で確実な輸送サービスの提供を続けてまいります。