経営の健全性について
「①経常収支比率」は黒字となっているが、「②営業収支比率」は平均値を下回っている。これは、過疎化が進み、路線バス収入の増加が見込めないことが主な要因として考えられる。こうした状況下で、地域交通を継続して確保していくためには、一般会計からの繰入を行わざるを得ず、その結果「⑦他会計負担比率」が平均値よりも高い水準となっている。「⑥利用者1回当たりの運行経費」はわずかに減少傾向にあるので、今後も収入に対して経費が多くかかることのないよう、老朽化した車両を計画的に更新するなどして住民サービスの確保に努める必要がある。なお、「⑧企業債残高対料金収入比率」については、借入を例年行っていないため、当該値はすべて0となっている。
経営の効率性について
「①走行キロ当たりの収入」についてわずかに減少傾向にあり、民間事業者と比較すると低い数値を示している。しかし、既存の路線は通院や登下校に即した生活路線になっているため、これ以上本数を削減することは住民のニーズを考えると難しい。また、既存の路線を維持していく上で最小限の職員数となっているため、人件費を抑えることも困難である。「④乗車効率」を上げるために、魅力ある村営バスとしてより安全快適な運行に努め、島内でバスを利用するよう啓発活動を行う必要がある。
全体総括
離島という環境では民営化や外部委託等は難しく、今後も実質的な赤字部分は大きくなると予想される。しかし、地域の交通手段として村営バスはなくてはならないものであるため、一般会計からの繰入金に頼らざるを得ない。バスを小型化したり更新したりすることで、費用の大部分を占める修繕費や軽油費を抑え、経費削減に努める必要がある。また、平成32年度を目途に策定を予定している経営戦略の中で利用者のニーズを把握し、利用状況を分析することで、より効率的な運行体系となる路線バスを実現できるよう企業努力をする必要がある。