経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率ここ数年60%台で推移しているが、前年度に比べ2.1ポイント下回っており若干赤字割合が増となっている。これは前年度に比べ供用開始区域の拡大により使用料収入が増となった一方で、汚水処理施設に係る修繕費等の施設維持管理費が増となったためである。④企業債残高対事業規模比率下水道事業における資本費に対する繰出基準に基づき、地方債償還に要する資金の全部を一般会計で負担することにより平成27年度以降は0%となっている。⑤経費回収率平成26年度から50%前後で推移している。使用料収入の増により前年度に比べ1.2ポイント上回っているが、類似団体の平均値を5.5ポイント下回っている。今後も供用開始区域の拡大による使用料収入の確保を経費回収率の改善につなげていく必要がある。⑥汚水処理原価有収水量の増加により前年度に比べ5.5ポイント下回る数値となったが、依然として類似団体の平均値を上回っている。今後も効率的な施設運営による維持管理費の削減や接続率の向上による使用料収入の確保に取り組む必要がある。⑦施設利用率類似団体の平均値を上回る数値となっている。年々整備済区域が拡大し、接続世帯数の増加に伴い流入汚水量も増加しているため徐々に施設利用率は上昇傾向にある。⑧水洗化率供用開始区域への普及促進活動により、平成28年度以降80%を超え、類似団体と比較し高い数値となっている。今後も処理区域内の普及促進活動により、水洗化率を高め使用料収入の適正な確保につなげていく必要がある。
老朽化の状況について
当町の公共下水道は、平成19年度より供用開始をしており、管渠の老朽化はそれ程進行していない。そのため、これまで管渠の老朽化等による更新は実施していない。しかし、稼働後14年を経過し、汚水処理施設の老朽化が随所に見られる状況にあり、計画的に施設修繕を行うことも必要となっている。今後は、ストックマネジメントの考え方を取り入れ、適正な施設・管渠の維持管理、計画的な更新ができるように取り組む必要がある。
全体総括
当町の下水道事業は、令和8年度に全体計画区域における面整備が完了し、その後は施設等の維持管理が中心となる予定である。水環境の保全や住民の衛生的で文化的な生活環境の実現のため、当該下水道事業は必要不可欠なものであるが、分析結果をみると、大変厳しい運営状況であることが確認できる。そのため、今後も計画的に適切な施設管理・運営・更新を行い、維持管理費等の削減や下水道接続率の向上による使用料収入の増加を目指す取り組みが必要である。また、区域内人口の増減等を分析し、施設規模を実情に見合った規模になるよう見直すなど、将来に向けた取り組みを様々な角度から検討することが求められる。当町の地理的条件や人口密度等を総合的に考慮すると単純に使用料を引き上げることも難しい状況であるが、令和5年度から公営企業会計による事業運営が予定されているため、法適用後の財政状態等も踏まえ、適正な料金体系についても検討していく必要がある。