経営の健全性・効率性について
①経常収支比率137.67%のことから単年度収支が黒字であることがわかる。給水収益以外の収入(東京電力賠償金)に依存していることを、料金回収率5.79%であることから判断する。給水収益だけでは経営できる状態ではないことがわかる。②欠損金が発生していないため累積欠損金比率は0%となっている。欠損金が発生しない理由も東電賠償金による総収益の増加によるのである。③流動比率426.67%と100%を超えていることから短期的支払い能力がある状態と判断する。しかし、前述にもあるが賠償金に依存した比率と考える。④企業債残高対給水収益比率4087.25%と県内及び全国平均を大きく上回る数値となっている。前年度に比べ、給水収益の増加、企業債の償還により数値が下降している。⑤料金回収率5.79%であり給水収益以外の収入で給水に係わる費用を大きく賄われていることがわかる。町民に対し水道料金免除、停滞水防止のための排泥作業により料金水準が適切か判断することが困難と考える。⑥給水原価4599.15円と過大な数値となっている。しかし前述のとおり当町の状態から適切な数値ではないと判断する。年間総有収水量の増加により前年度に比べ下降傾向にあることはわかる。⑦施設利用率は年々増加傾向にある。施設規模が現状の需要に適しているか把握することでさらなる増加につながると考える。⑧有収率5.31%と現状、収益にならない施設稼働が行われている。前述の無収水量が影響している。
老朽化の状況について
①有形固定資産償却率46.87%と前年度に比べ資産の老朽化が進んでいると考える。しかし、過去5年のデータを比較した場合比率に推移があまりなく資産取得が増加していると考える。②管路経年化率40.31と平均値を大きく上回っていることがわかる。法定耐用年数を超えた管路の所持が影響している。石綿管も残っており今後の管路更新の必要性が高いと考える。③管路更新率0.07%であり、更新ペースの停滞がわかる。管路更新を中長期で計画していなかったため管路更新率の推移に平均を上回る時期、下回る時期が生じている。
全体総括
震災及び原子力事故により避難指示区域になったことで収益減少が大きく、収益に係わる賠償金がないと経営は不可能である。給水人口は年々増加しているが、事故以前に比べ大きな差がある。ダウンサイジング、施設の統廃合等の検討を行い、適切な施設規模にする必要がある。管路更新は、継続的に災害復旧工事及び町の施工計画に合わせて管路を整備し効率的な運用を図る必要がある。