地域において担っている役割
当院は、大仙・美郷を主な圏域とする全国でも稀な精神科単科の市立病院である。当地域では、高齢化に伴い認知症への医療需要が増加しており、当院では精神疾患を持つ患者の地域生活、認知症患者とその家族を支える医療を確保するため、医療機関相互の連携を行っている。また、医療を必要とする人と医療を結び付けるための医療・福祉・行政のネットワーク形成に積極的に関与し、専門病院としての立場からそれらの基盤を支えている。
経営の健全性・効率性について
経常収支はこれまで黒字を維持しているが、市の一般会計から、普通交付税及び特別交付税として算入されている基準内の繰入れを受けているためである。医業収支は赤字であり、その赤字幅を縮小させ、一般会計からの繰入れが増大しないよう管理していく必要がある。外来患者の収益と材料費が平成26年度から減少しているのは、平成26年4月から外来薬剤を院外処方にしたためであり、機能の充実と合理化を進めている。病床利用率は、平均値を超えているが、高齢化や地域の人口減少により、外来と入院患者数はともに減少傾向にある。
老朽化の状況について
平成8年12月の設置から20年以上経過し、修繕費が増加傾向にあるため、施設設備全体の更新計画を策定するなどし、年次計画で延命化を図ると共に病棟を有効活用するための設備の見直しが課題となっている。現在、計画的に施設の維持補修や医療機器の更新を行っているが、資金収支のバランスを取りながら進めていかなければならない。
全体総括
医業収益の増加を目標とし、患者数の維持と可能な施設基準の取得に取り組みながら、在院日数の短縮などによる効率のよい収益構造を目指す。定期的に市内の福祉施設と認知症関連の勉強会を開催するなど、各関係機関との連携に努めており、平成30年度からは大仙市の福祉事業である認知症初期集中支援事業に参画している。また、地域の総合病院への診療応援や、訪問看護、訪問診療などのアウトリーチ事業などにも力を入れており、今後も、地域住民の皆様に精神医療を提供する公的病院として、地域生活の基盤を支え、地域住民のこころの健康と福祉に貢献しながら、地域の皆様に信頼される、なくてはならない病院を目指していく。