経営の健全性・効率性について
東日本大震災の大津波により,下水道施設及び下水道利用者(一般家庭や事業者等)が壊滅的被害を受けたが,その後,災害復旧事業に取り組み,現在,快適な生活環境と海域の水質保全のため,復興まちづくりに合わせた下水道施設の復旧・復興を図っているところである。①収益的収支比率は,震災からの復旧・復興で接続戸数が増え,使用料収入が増加したことにより99.13%まで回復した。④企業債残高対事業規模比率は361.09%で類似団体と比較し,ほぼ半分程度である。⑤経費回収率は,終末処理場の水処理施設が復旧し仮設処理場を廃止したことや管渠復旧により汚水搬送が終了したことなどから,汚水処理原価が改善し71.72%まで回復した。⑥汚水処理原価は259.99円と震災直後から比べれば,値は良くなっているが,類似団体の値に近づくよう適正な使用料収入の確保と汚水処理費の削減を図り,経営の効率性を高めていかなくてはならない。⑧水洗化率は,73.61%と類似団体と比較し,かなり低い値となっているので,接続率の向上による有収水量を増加させる取組を通して,経営改善を図っていく必要がある。
老朽化の状況について
③管渠改善率は平成22年度より0で,管渠の更新は行っていないが,管渠総延長約86㎞のうち,東日本大震災からの災害復旧事業において,そのうち被災した管渠51.2㎞を復旧させる予定で,現在,鋭意,工事を進めているところである。また,更新計画については,災害復旧・復興事業完了後に,汚水処理施設及び管渠の長寿命化計画を策定する予定としている。
全体総括
今後の改善に向けた取組については,経営の安定化を図るための適正な下水道使用料の改定に向けた調査・検討を行っていく。また,下水道施設の復旧状況など整備の進捗状況を市のホームページや広報誌等で周知し,下水道への接続,利用促進を図っていく。さらに,「下水道展」等のイベントによる啓発活動を継続するとともに,未接続世帯への個別相談等の対応を強化しながら,下水道への理解と接続を促し,水洗化率向上に努めていく。