経営の健全性について
営業収支比率(表②)の状況としては、平均値は概ね横ばいで推移しているが、本市では、当該年度、運送収益が前年度と比較して5.1%増加したことから、同比率は前年度と比較して4.4ポイント改善している。しかしながら、同比率は依然として100%を下回っており、営業収益で営業費用が賄えていない状況にある。このような状況を踏まえ、毎年度、一般会計から多額の補助金を繰り入れしている状況にあり、利用者1回あたりの他会計負担額(表⑤)は平均値を上回っており、また、他会計負担比率(表⑦)については、前年度から改善し、平均値を下回ったものの、一定の一般会計からの補助金に支えられている状況にある。これらの状況から、当該年度については、経常収支比率(表①)は、100.6%と経常黒字となり、また、資金不足も解消されたものの、依然として他会計補助金へ依存している状況にある。さらには、近年、車両更新を行っていることから、企業債残高料金収入比率が増加傾向にあることなどから、今後も厳しい経営が続くものと見込まれる。
経営の効率性について
本市の走行キロあたりの収入(表①)は、運送収益増加などにより、前年度と比較すると改善している。一方、走行キロ当たりの運送原価(表②)は、経費削減に努めてはいるものの増加傾向にあり、当該年度についても燃料単価上昇などによる費用増によって増加となったもので、民間事業者と比較すると2倍以上となっており、運行経費の抑制が課題となっている。走行キロあたりの人件費(表③)についても、民間事業者平均値と比較すると、2倍以上となっており、民間事業者と比較して人件費が多額となっていることから、人件費をはじめとする運行経費の抑制に向け、さらに民間活力の活用を推進していく必要がある。また、乗車効率(表④)は、平均値を下回っていることから、多様な利用者ニーズの把握に努めながら、より利便性が高く効率的なバスの運行を行うため、路線やダイヤの見直しを進めていく必要がある。
全体総括
本市の自動車運送事業は、①人件費が高く、②一般会計からの繰入金への依存度が高い状況である。これらの課題解決に向けて、民間活力の活用を推進するなど運行の効率化や人件費の抑制など経費削減に取り組むとともに、利用者ニーズに対応した路線の再編やダイヤの見直しを検討する必要がある。このことから、平成30年2月に「青森市交通事業経営改善計画~チャレンジプラン2017~(平成30年度~32年度)」を策定し、今、できるところは速やかに取り組むとともに、市民の足としてのバス交通を将来にわたっても維持していくための新たな取組にも挑戦することとしており、これらの取組の結果を踏まえ、平成32年度中に経営戦略を策定することとしている。