経営の健全性・効率性について
経常収支比率は、平成30年1月1日に実施した使用料の改定により、前年度から改善して100%を上回ることとなり、類似団体平均値を下回っているものの僅差となった。経費回収率についても、使用料改定により前年度から数値は大きく改善した。汚水処理原価については、類似団体平均値に比べて高く、経常収支比率等が低下する一因となってきたことから、既に実施した使用料改定と併せて、維持管理費低減のための検討を行っているところであり、今後も引き続き検討を進めていく予定である。企業債残高対事業規模比率は、類似団体平均値を上回っているが、企業債残高が減少していることから、今後は数値の改善が見込まれる。水洗化率については、ほぼ同程度で推移しているが、引き続き下水道未接続家屋を対象に水洗化を促すなど、更なる水洗化率の向上に努める必要がある。流動比率は、類似団体平均値に比べて低いものの、流動負債の大部分は企業債であり、企業債を除けば100%を超えていることから、一概に短期的な債務に比して支払能力が不足しているとは言えないものと考える。施設利用率については、類似団体平均値を上回る状況にある。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は年々高くなっているが、平成30年度は類似団体平均値を上回ることとなった。当市の事業開始は昭和57年と比較的遅いものの、施設の老朽化が徐々に進んでいることを示している。なお、管渠老朽化率の数値はゼロとなっている。年数の経過とともに、管渠の老朽化は進み、更新需要も本格化するものと予想されることから、更新への備えも含めて、今後も使用料の水準を適宜検証していくことなどが重要である。管渠改善率は、その年度の改築延長を管渠の総延長で除した数値であり、投資額の適切性とこれによる更新ペースを測るために用いられるが、当市の場合には、本格的な更新時期にはまだ間があるため、一概にこの数値をもって投資額の適切性を測ることはできない。
全体総括
使用料の改定により、経常収支比率は100%を大きく上回り、経費回収率についても近い将来に100%を上回る見込である。しかし、汚水処理原価は類似団体平均値に比べて高い状態が続いており、引き続き維持管理費の低減に向けて取組を進めていく必要がある。また、資産の状況を見ると、事業開始が比較的遅いため、管渠老朽化率は低く、更新需要が本格化するまでには若干の時間的猶予があるものの、将来の更新期も見据えながら、使用料の水準を適宜検証するなど、中長期的な視点に立って、更新投資を賄うための財源のあり方を検討する必要がある。