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令和3年度地方財政対策において、新型コロナウイルス感染症の影響により地方税等が大幅な減収となることが見込まれたことにより、全国的に基準財政収入額が減となった。沖縄県行政運営プログラムに基づき県税の徴収対策の強化等による歳入の確保や県単補助金の見直し等による歳出削減を実施してきているが、今後も引き続き歳入・歳出両面の見直しを継続して進めるとともに、産業振興施策に重点的に取り組むことにより、安定的な税源涵養を図っていく。
国税(法人関係税等)の収入増に伴い地方交付税や地方譲与税が増となったこと等により、経常収支比率が大幅に改善された。今後も社会保障関連経費等については増大が見込まれることから、県税の徴収対策の強化や新たな財源の確保、県単補助金の見直し等に取り組むことで、歳出と歳入のバランスがとれた持続力のある財政基盤の確立を目指していく。
平均給与月額(一般行政)は全国と比べて低い水準にあるが、島しょ県である本県の特性に起因して、人口当たり教育部門職員数が多いこと等により、人口1人当たり経費は全国平均を上回っており、グループ内平均よりも高い水準に位置している。また、新型コロナウイルス感染症対策経費が大幅に増となったことから、一人当たり物件費決算額も連動して増となっている。今後も、定員や給与の適正化を進めるとともに、本県が描く将来像の実現と本県固有の課題解決に向けた行政運営を行っていく。
平成27年度からの給与制度の総合的見直しの実施やこれまでの給与適正化の取組み等に伴い、令和3年4月1日現在のラスパイレス指数は98.1となった。令和2年4月1日時点と比べて0.1ポイント、都道府県平均では1.8ポイント、類似団体平均では0.7ポイント下回っている。今後とも、人事委員会の勧告及び国並びに他の都道府県の状況等を踏まえた適正な給与管理に努める。
平成25年度までは、新沖縄定員管理適正化計画に基づき、目標(470人純減)を上回る673人の削減を実施したが、近年は、法令等により配置基準が定められている教育部門と警察部門の増加や一般行政部門の行政需要の増加に加え、新型コロナウイルスへの対応や教育部門における臨時的任用職員数の増加より職員数が増加している。知事部局においては、令和4年度末に策定予定の「新沖縄県行政運営プログラム(仮称)」において、令和5年度から令和8年度までの年度別の定員数の目標値を定めることとしており、引き続き適切な定員管理に努める。また、知事部局以外においても、知事部局の定員管理の考え方を踏まえた適切な定員管理を求める。
沖縄振興特別措置法等に基づく補助率の特例措置(高率補助)により事業費に対する県負担が小さく、県債発行額が抑制されているため、実質公債費比率の分子である元利償還金が抑えられている。また、実質公債費比率の分母である標準財政規模は増加傾向にあり、その結果、実質公債費比率は、類似団体平均、都道府県平均を下回っている。今後も、県債発行額の抑制に努めること等により、持続可能な財政基盤の確立を目指していく。
行財政改革の一環で、職員の定数管理や県債発行額の抑制に努めてきたことにより、将来負担比率の分子である地方債現在高は減少傾向にある。また、将来負担比率の分母である標準財政規模は増加傾向にあり、その結果、将来負担比率は年々低下している。今後も、定員の適正化や県債発行額の抑制に努めること等により、持続可能な財政基盤の確立を目指していく。◎地方債現在高671,827百万円(平成26)→598,316百万円(令和3)◎標準財政規模357,163百万円(平成26)→409,957百万円(令和3)
平均給与月額(一般行政)は全国と比べて低い水準にあるが、島しょ県である本県の特性に起因して、人口あたり教育部門職員数が多いことにより、経常収支比率における人件費の比率は全国平均を上回っている。今後とも、定員や給与の適正化を進め、歳出と歳入のバランスがとれた持続力のある財政基盤の確立を目指していく。◎千人当たり教育部門職員数(令和4.4.1)沖縄県:11.1人、全国平均6.4人
予算編成方針において、旅費、需用費等の事務的経費に要求基準を設け、事務的経費の節減・合理化に努める一方で、経常収支比率における物件費の比率は、教育費や警察費における経常経費充当一般財源等が大きくなっていることもあり、上昇傾向にある。なお、令和2年度においては、新型コロナウイルス感染症の影響等により、一時的に物件費は減少した。
高い保護率により生活保護費が高い水準となっていることで、経常収支比率における扶助費の比率が高くなっている。今後も社会保障関連の扶助費の増大が見込まれていることから、事務及び事業の適切な実施を行うとともに、県税の徴収対策の強化等による歳入の確保に取り組むことで、持続可能な財政基盤の確立を目指していく。
維持補修費については令和2年度から減となっており、その内訳として土木費関連が減となっている。なお、維持補修費に係る一人当たり決算額が全国平均よりも低い水準にあり、その要因として、これまでの行財政改革の取組や、沖縄県の面積が小さいことによる道路関連維持補修費が低いことが考えれる。操出金については、国民健康保険負担金等によるものである。
平成29年度以前、補助費等は増加傾向にあったが、「国民健康保険負担金(補助金)等事業費」が繰出金となったこと(平成30)や、新型コロナウイルス感染症の影響により減となった影響(令和2)がみられる。一方、高齢化の進行や子ども・子育て支援施策等による社会保障関係費の増に伴い、今後も一層の増加が見込まれるため、引き続き事務及び事業の適切な実施を図る。
沖縄振興特別措置法等に基づく補助率の特例措置により事業費に対する県負担が小さく、県債発行額が他都道府県に比べ抑制されているため、経常収支比率における公債費の比率は低い水準で推移している。今後も、県債発行額を抑制するとともに、金利動向等を踏まえた借換えなどを行い、金利負担の軽減を図る。
社会保障関連の補助費及び扶助費が年々増加しており、公債費以外の経常収支比率は高い水準にある。そのため、県税の徴収対策の強化や新たな財源の確保、県単補助金の見直し等に取り組むことで、歳出と歳入のバランスがとれた持続力のある財政基盤の確立を目指していく。
(増減理由)ここ数年は社会保障関係経費や教職員等の人件費に係る経常的一般財源の増等により、基金残高は減少傾向にあったものの、令和3年度は県税や地方交付税等の収入が増となったことで財政調整基金及び減債基金の残高が大幅に増加したことにより、基金全体の残高は約333億円の増となった。(今後の方針)ここ数年は、決算において県税収入の上振れが生じ、財政調整基金等の取崩しを抑制できていた一方で、当初予算編成においては、引き続き収支不足が見込まれる。さらに、新型コロナウイルス感染症対策や原油価格高騰への対応等に備え、安定的な財政運営を確保し県民サービスを維持するため、基金残高を一定程度確保していく必要があると考えている。
(増減理由)令和3年度においては、県税が予算積算時の見込みよりも増となったことや、国税収入の増に伴い地方交付税の追加交付・地方譲与税の増となったことが主な要因となり、基金残高が増となった。(今後の方針)新型コロナウイルス感染症対策に係る財源不足への対応のため、令和4年度当初予算において約232億円を確保し、令和3年度普通交付税の税収等上振れ分に係る後年度の精算のために約112億円を確保しているところ。その他の残高については、新たな変異株の出現による感染拡大や原油価格高騰等による経済の下振れリスクに備えるなど、今後の補正対応に対応していく。
(増減理由)令和3年度国の補正予算(第1号)に対応して、令和3年度の臨時財政対策債の一部を償還するための、基金の積み立てに要する経費(臨時財政対策債償還基金費)を減債基金に積み立てたことにより、基金残高が増となった。(今後の方針)経済情勢の変動等による財源不足等への対応及び将来の公債費に備え、一定程度の基金残高を確保していく。
(基金の使途)・県有施設整備基金:県の庁舎その他の県有施設の整備資金に充てるための基金。・産業振興基金:本県産業の技術革新、高度情報化、国際化等への適切かつ円滑な対応を促進し、もって産業の振興を図るための基金。・首里城復興基金:首里城火災からの復興を目的とした費用の財源に充てるための基金。(増減理由)・県有施設整備基金:「沖縄県行政運営プログラム」に基づき未利用財産の売却促進に努めていることから、同基金条例に基づき積み立てることとしている土地売払代及び建物売払代が取崩額を下回ったため、約13億円減少した。(今後の方針)・県有施設整備基金:老朽化した県有施設の計画的な更新等に備えるために、引き続き上記プログラムに基づく整理等を進め、その売払代を積み立てていく。その他特定目的基金については、各基金の設置目的等に応じた適切な管理・活用を図っていくこととする。
本県の有形固定資産減価償却率は、グループ及び都道府県平均と比較してやや低い水準にある。また、令和2年度から0.8ポイント増となっており、他県同様、上昇傾向にある。有形固定資産減価償却率の上昇は施設の老朽化が進んでいることを示しており、今後は、令和4年8月に改訂した「沖縄県公共施設等総合管理計画」に基づく、施設類型ごとの個別施設計画を策定し、計画的な改修等による長寿命化対策などを実施していく。
債務償還比率は、グループ及び都道府県平均と比較し、低くなっている。また、令和2年度から299.3ポイントの減となっている。要因としては、県債発行額の抑制に努めてきたことによる地方債現在高の減少とともに、令和3年度は充当可能基金の増による充当可能財源等の増により、債務償還比率は減となっている。今後も、定員の適正化や県債発行額の抑制に努めること等により、持続可能な財政基盤の確立を目指していく。
将来負担比率は減少傾向、有形固定資産減価償却率は増加傾向となっている。グループ及び都道府県平均と比較すると、将来負担比率及び有形固定資産減価償却率ともに低い水準となっている。今後は、県債残高に留意しつつ、令和4年8月に改訂した「沖縄県公共施設等総合管理計画」に基づく、計画的な改修等による長寿命化対策などを実施していく。
将来負担比率及び実質公債費比率ともに、減少傾向にあり、グループ及び都道府県平均と比較しても低い水準となっている。その要因としては、沖縄振興特別措置法等に基づく補助率の特例措置(高率補助)により事業費に対する県負担が小さいほか、行財政改革の一環で、職員の定数管理や県債発行額の抑制に努めてきたことよるものと考えられる。今後も、定員の適正化や県債発行額の抑制に努めること等により、持続可能な財政基盤の確立を目指していく。