経営の健全性・効率性について
○経常収支比率経常収支比率は、単年度収支が黒字であることを示す100%を上回る状態が続いているとともに、類似団体の平均値と比較しても良好な状態が続いている。平成30年度は給水収益など経常収益が増加するとともに、えん堤管理費など経常費用が減少したことにより、前年度を上回った。経常収益の88%を占める給水収益により、経常費用を賄っており、経営の健全性を確保できている。○累積欠損金比率累積欠損金比率は、平成21年度に、西条地区の経営規模の縮小を行ったことにより、多額の特別損失を計上したため、類似団体平均値を上回っているが、平成22年度以降、経常収支は黒字の状態が続いており、平成28年度以降減少している。○流動比率流動資産のほとんどを現金及び預金が占め、流動負債は企業債と一時的な未払金等で構成されている。流動比率は、平成30年度は未払金の増加により前年度に比べ低下したが、流動資産の増加や企業債残高の減少により、類似団体平均値を上回って推移しており、短期的な支払い能力を十分確保している。○企業債残高対給水収益比率企業債残高対給水収益比率は、類似団体平均値を上回っているが、企業債の新たな借入を行っておらず、企業債現在高は減少しており、給水収益も増加しているため、下降傾向にある。○料金回収率料金回収率は、契約給水量の増加、営業費用の減少により、類似団体平均値を上回って推移しており、給水収益によって給水費用が賄えており、健全経営ができている。○給水原価給水原価は、類似団体平均値を下回って推移しており、効率的な経営が行われている。○施設利用率、契約率施設利用率、契約率は、西条地区の一日配水能力の引上げにより、前年度を下回ったが、契約給水量は、松山地区及び今治地区では100%、西条地区でも上昇傾向にあるため、類似団体の平均値を上回って推移している。
老朽化の状況について
○有形固定資産償却率有形固定資産償却率は、減価償却の進展に伴い、上昇傾向にあるが、西条地区の給水開始は昭和59年度であり、施設が比較的新しいため、類似団体の平均値より下回っている。○管路経年化率、管路更新率管路延長に変更がなく、法定耐用年数を経過している管路の更新も実施していないことから、管路経年化率は横ばいの状態が続いており、類似団体を上回って推移している。松山地区及び今治地区は管路の法定耐用年数を経過しているが、施設の管理に当たっては、状況の的確な把握及び計画的な維持管理に努めており、管路の更新は現時点では必要ないと判断しているため、管路更新率は0%となっており、類似団体を下回って推移している。
全体総括
愛媛県公営企業管理局では、平成22年度から31年度を対象期間とする工業用水道事業中期経営計画を策定し、安定した給水を行うための施設の維持や財政基盤の強化などに取り組んでおり、施設の耐震化率や契約給水量などの数値目標の達成状況を、毎年度公表している。経営面では経常収支比率、料金回収率が100%を超え、安定した経営ができている。一方、西条地区の経営規模縮小により生じた累積欠損金の影響により、累積欠損金比率が類似団体の平均値を上回っているため、平成20年度から令和9年度を計画期間とする西条地区工業用水道事業経営改善計画に基づき、経営基盤の安定化に努めている。設備面では、施設利用率は類似団体よりも良好な状態にあるが、管路経年化率が類似団体よりも高く、企業債残高対給水給水収益比率も類似団体より高いため、今後とも、施設の状況等を的確に把握し、経済的な維持管理に努めていく。