地域において担っている役割
精神科救急・急性期医療、思春期精神医療、ストレスケア医療に重点的に取り組むとともに、精神疾患と結核を合併した患者の受入れや医療観察法に基づく指定通院医療機関の指定を継続するなど、「県の精神医療の基幹病院」としての役割を担う。
経営の健全性・効率性について
精神科急性期治療病棟入院料は算定しているものの、精神科救急入院料は算定していないため、⑤入院患者1人1日当たり収益が高くない。また、医師不足等による1病棟(思春期・ストレス・社会復帰)の休止により、許可病床数ベースの④病床利用率は低い。外来は院内処方が多く、⑥外来患者1人1日当たり収益、⑧材料費対医業収益比率が類似病院平均値を上回っている。一方で、職員平均年齢が高いこと等から、⑦職員給与費対医療収益比率が類似病院平均値を上回っており、①経常収支比率、②医業収支比率ともに類似病院平均値を下回っていると考えられる。なお、③における累積欠損金は、主に会計制度変更前における償却資産の取得等にかかる補助金や繰入金等について、収益化できずに残っているものである。
老朽化の状況について
病院施設は築30年以上経過しているため、①有形固定資産減価償却率は類似病院平均値よりも高い。また、②器械備品減価償却率については、平成26年度に病院情報システムの再構築・更新をしたことにより大幅に下がったものの、類似病院平均値よりも高くなっており、使用年数等に考慮する必要がある。③1床当たり有形固定資産については類似病院平均値よりも大幅に低く、病床数と比較して過大な投資を行っているものではないといえる。
全体総括
上記に記載のとおり、医師等の確保に代表される上記の課題に対応出来なければ、今後も厳しい経営状況が続くと考えられる。そのような中、「新公立病院改革プラン」として位置づけた「第3次県立病院経営目標」及び「第3次県立病院中期実施計画」(ともに計画期間:平成28年度~平成32年度)に基づき、精神科医師確保への取り組みや急性期患者の積極的な受け入れなどにより、県立3病院全体での単年度資金収支の黒字化及び新会計基準による過去の退職給付引当金を控除した上での経常収支比率100%以上を目指し、経営改善に取り組んでいる。また、病院の施設整備について、現時点では再整備の必要箇所が徐々に増えており、経年劣化も進行していることから、使用年数も考慮し、改修や修繕により患者療養環境の向上を図るとともに、再整備の検討を始める必要がある。