経営の健全性・効率性について
本町の単年度収支は赤字となったため経常収支比率は71.39%となり、累積欠損額が増加したため累積欠損金比率も4,697.01%と非常に高い指標となった。これは、本町の公共下水道事業の処理施設供用開始が平成21年度からで、未だ整備中(平成29年度末進捗率:78.0%)であることや、少子高齢化により当初計画で見込んでいた接続件数に比較して実際の接続件数が伸び悩んでいること、加えて、合併浄化槽の普及率が高く供用開始以前に既に合併浄化槽を設置していた件数が多く、新たに公共下水道への接続替えが難しいことが要因と考えられる。結果として実際に汚水処理を行っている人口の割合を示した水洗化率は43.33%で、全国平均(95.06%)や類似団体平均値(64.51%)と比較すると大きく下回っているため、経費回収率も31.79%と低く公共下水道事業にかかる経費を使用料で賄えていない。また、営業収益が低いため有収水量1㎥当たりの汚水処理原価は714.82円(全国平均:136.39円、類似団体平均値:260.11円)と非常に高額で、効率的な汚水処理が行えていないことがわかる。今後も引き続き、積極的な普及促進に努め水洗化率の向上を図ることによって、健全で効率的な経営ができるよう努める必要がある。
老朽化の状況について
本町の公共下水道事業の供用開始は平成21年度からで、平成29年度末で82.7haが完了し、残りの23.3haについては今後整備予定である。よって、資産の老朽化度合を示す有形固定資産減価償却率は17.06%と全国平均(38.13%)を下回っている。今後はいずれ到来する更新時期を見据え、耐震化や長寿命計画等により、経費の平準化を図るなど財政面を考慮した維持管理に努める必要がある。
全体総括
本町の公共下水道事業は供用開始からまだ日も浅く、整備計画区域内の整備途上であることから普及率が伸びないため、経費回収率などの経営の効率性、また施設の効率性に関する指標はいずれも低く経営状況は非常に厳しい。今後も積極的な普及促進を行うことで水洗化率の向上による経営の効率性を目指し、地方債償還による負担を考慮しながら計画的な整備を行っていく必要がある。