経営の健全性・効率性について
本町の経常収支比率は76.11%となり単年度収支は赤字であった。また、全国平均(108.23%)や類似団体平均値(103.72%)のいずれも下回っている。これは、本町が中山間地域にあるため、汚水処理については合併処理浄化槽の普及率が高いということ、また、公共下水道事業については処理施設の供用開始が平成21年度で未だ整備中(全体計画区域のうち約61%の進捗率)であることや、少子高齢化により当初計画で見込んでいた加入件数が伸び悩んでいることなどにより、水洗化率も45.59%と全国平均(94.73%)や類似団体平均値(61.37%)を大きく下回っていることが要因と言える。これに伴い施設利用率(20.00%)、経費回収率(25.79%)も全国平均(施設利用率:60.01%、経費回収率:98.53%)や類似団体平均値(施設利用率:39.87%、経費回収率:54.16%)も大きく下回り、それとは逆に営業収益が低いため累積欠損金比率(191.16%)と汚水処理原価は832.28円と全国平均(累積欠損金比率:4.45%、汚水処理原価:139.70円)や類似団体平均値(累積欠損金比率:129.75%、汚水処理原価:307.56円)を大きく上回っており、経営の効率性を低下させていることが判る。今後も引き続き積極的な普及促進を行い水洗化率の向上を図ることによって、健全で効率的な経営ができるよう努める必要がある。
老朽化の状況について
本町の公共下水道事業の供用開始は平成21年度からで、平成27年度末で事業計画区域95.57haの内58.50haが完了し、残りの37.07haについては今後整備予定である。よって、資産の老朽化度合を示す有形固定資産減価償却率は11.17%と、全国平均(36.85%)や類似団体平均値(17.74%)を下回っている。今後はいずれ到来する更新時期を見据え、耐震化や長寿命化計画策定により、経費の平準化を図るなど財政面を考慮した維持管理に努める必要がある。
全体総括
本町の公共下水道事業は供用開始からまだ日も浅く、整備計画区域内の整備途上であることから普及率が伸びないため、経費回収率などの経営の効率性、また施設の効率性に関する経営指標はいずれも低く、経営は厳しい状況にある。今後も積極的な普及促進を行い、水洗化率の向上により経営の効率性を目指し、地方債償還による負担を考慮しながら計画的な整備を行っていく必要がある。