経営の健全性・効率性について
【①経常収支比率,②累積欠損金比率】経常収支比率は111.73%で健全経営の水準となる100%を上回っており,累積欠損金もないことから,経営は堅調に推移している。【③流動比率】流動比率は259.08%で短期債務に対する支払可能な現金等の保有状況を示す100%を上回り,支払能力を確保している。【④企業債残高対給水収益比率】企業債残高対給水収益比率は449.90%で類似団体平均値(以下「平均値」という。)を上回っている。この要因は,他団体と比べ,管路延長が長く,多額の更新投資を要するためである。【⑤料金回収率,⑥給水原価】料金回収率は86.06%で給水費用を給水収益で賄うことのできる100%を下回っている。この要因は,当該算出方法においては,給水原価に工業用水道事業が一括して実施している他の事業に係る維持管理費が全て含まれている一方,他の事業から得た維持管理費部の収益が含まれないためであり,当該費用を除くと109.71%となる。【⑦施設利用率,⑧契約率】施設利用率は56.81%で平均値と同率であり,契約率は平均値を下回っている。この要因は,用水型企業の立地を見込んで事業を開始した太田川2期工水及び沼田川工水において,立地企業の減量があり,水需要が伸びなかったことである。また,平成30年7月豪雨で受水団体が被災し,契約水量が一時的に減少したが,令和元年度以降は増加している。
老朽化の状況について
【①有形固定資産減価償却率】有形固定資産減価償却率は58.24%で法定耐用年数を超える資産が平成30年度以降に平均値以下となっている。この要因は,平成29年度に大型工事が完成したためである。【②管路経年化率】管路経年化率は44.05%で法定耐用年数を経過した管路が平均値より低くなっているものの,昭和30年代後半から40年代に敷設した管路が多く,管路の老朽化が進行している。【③管路更新率】管路更新率は令和元年度以降0%である。この要因は,管路更新工事の施工が複数年に及んでおり,当該年度に完成したものがなかったためであり、優先度の高い管路から順次耐震管に取り替える管路更新を進めている。
全体総括
企業債残高対給水収益比率及び契約率は平均値に達していないが,経営の健全性・効率性については,経常収支比率が100%を上回っており,これまでは事業の継続性が確保されてきた。一方,今後は大口受水団体の撤退に伴う給水収益の大幅な減少により厳しい経営状況となるため,令和4年7月に取りまとめた経営改善策を実施していく。