経営の健全性・効率性について
経常収支比率は100%を超え、料金収入以外の収入に依存することなく黒字経営を維持できており、累積欠損金の計上もない状況である。【経常収支比率9.71%減】【累積欠損金比率0%を維持】令和3年度は、使用水量が令和2年度に比べ微増したこと等から経常収益が増加したものの、ポンプ設備等の運転に必要な電力料の増加に伴う営業費用の増加の影響が大きく、経常収支比率が減少した。短期的な支払能力については、流動比率が100%を超え、全国平均を上回っているが、これは近年の設備投資を自己資金で賄い新たな企業債を発行しておらず、流動負債に計上される企業債の償還額が年々減少していることが主な要因と考えている。また、同様の理由により企業債残高対給水収益比率も年々減少している。【流動比率169.28%増】【企業債残高対給水収益比率14.46%減】給水原価が増加したことから料金回収率は減少しているものの、水需要が近年は増加傾向にあることから施設利用率については上昇傾向にある。契約率については、責任水量の変動が小さいため横這いとなっている。【料金回収率11.4%減】【給水原価1.0円増】【施設利用率1.9%増】【契約率変動なし】
老朽化の状況について
施設の老朽化対策については、施設整備計画を策定し、計画的に実施しているものの、管路経年化率を改善するまでには至っていない。(なお、笠岡工業用水道事業の導水施設である笠岡共用導水路は高梁川から笠岡浄水場を結ぶ約22kmの水路であるが、平成30年度に笠岡1・2・3期の共用施設として耐用年数経過管路延長を重複して計上したため急激な増加となった。)【有形固定資産減価償却率0.60%減】【管路経年化率0.09%増】管路更新率については、令和3年度以降0.00となり、更新がなされていないように見えるが、管路の二重化や布設替などは施工に複数年を要する工事が大半であり、単年度では効果が見えにくいことが要因と考えている。【管路更新率0.28%減】
全体総括
営業開始当初は企業立地の遅れなどから、赤字経営を余儀なくされていたが、昭和42年度に累積赤字を解消して以降黒字経営を継続している。近年は施設の耐震対策工事を集中的に実施しており、一時的に多額の設備投資を予定していることから、企業債の発行も視野に資金の安定性を図る必要がある。また、さらなる経営の合理化を図るため、現状分析や将来見通しを踏まえた経営戦略を平成31年1月に策定した。引き続き工業用水の安定供給が可能となるよう努めてまいりたい。