経営の健全性・効率性について
経常収支比率は100%を超え、料金収入以外の収入に依存することなく黒字経営を維持できており、累積欠損金の計上もない状況である。【経常収支比率6.38%増】【累積欠損金比率0%を維持】平成28年度に受水企業の水需要の減少により基本使用水量が大きく減少したが、新規給水等により平成29年度以降は徐々に回復している。短期的な支払能力については、流動比率が100%を超え、全国平均を上回っているが、これは近年の設備投資を自己資金で賄い新たな企業債を発行しておらず、流動負債に計上される企業債の償還額が年々減少していることが主な要因と考えている。また、同様の理由により企業債残高対給水収益比率も年々減少している。【流動比率132.59%増】【企業債残高対給水収益比率24.53%減】給水原価が大きく変動していないこと、水需要が近年は増加傾向にあることから料金回収率は上昇傾向、施設利用率はほぼ横這いとなっている。契約率については、責任水量の変動が小さいため横這いとなっている。【料金回収率7.09%増】【給水原価0.39円減】【施設利用率0.22%減】【契約率0.03%増】
老朽化の状況について
施設の老朽化対策については、施設整備計画を策定し、計画的に実施している。【有形固定資産減価償却率0.47%増】【管路経年化率0.99%増】笠岡工業用水道事業の導水施設である笠岡共用導水路は高梁川から笠岡浄水場を結ぶ約22kmの水路であり、平成30年度に笠岡1・2・3期の共用施設として耐用年数経過管路延長を重複して計上したため急激な増加となった。【管路更新率0.07%増】管路更新率については、平成28年度以降0が続き、更新がなされていないように見えるが、管路の二重化工事や、布設替について、工事に複数年を要する工事が大半であり、単年度では効果が見えにくいことが要因と考えている。本年度の微増分は笠岡地区で実施している工事の一部が竣工したことによるもの。
全体総括
営業開始当初は企業立地の遅れなどから、赤字経営を余儀なくされていたが、昭和42年度に累積赤字を解消して以降黒字経営を継続している。近年は施設の耐震対策工事を集中的に実施しており、一時的に多額の設備投資を予定していることから、企業債の発行も視野に資金の安定性を図る必要がある。また、さらなる経営の合理化を図るため、現状分析や将来見通しを踏まえた経営戦略を平成31年1月に策定した。引き続き工業用水の安定供給が可能となるよう努めてまいりたい。