経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率は昨年に比べ2.13%増加しているが、これは平成30年4月より公営企業会計適用による打切決算の影響である。昨年と同様に出納整理期間を考慮した算出では71.99%となり昨年とほぼ同様の比率である。収益と地方債償還金を含めた費用の比率の変動はない状況である。④企業債残高対事業規模比率は企業債残高が減少し続けており、類似団体との比較でも低い状況が確認できる。なお、昨年と同様に算出すると617.86%となり平均値を更に下回る結果となった。⑤経費回収率は100%を下回る状況となっているが、これは打切決算の影響であり昨年までの算出方法では100%となる。⑥汚水処理原価は低下している。しかし、これも打切決算による影響であり、昨年までの算出方法では154円とほぼ同額となる。処理費用と有収水量の割合は変化していない。⑧水洗化率は94%以上を維持しているが近年微減傾向である。水洗化率向上に向け水洗便所改造助成金制度などの活用を通じて引き続き啓発を実施していく。以上のことから、類似団体との比較では健全性・効率性は概ね良好ではあるが、料金収入の増加に比べ維持管理費の増加割合が高くなってきており健全性・効率性に悪化の恐れがある。
老朽化の状況について
現在は比較的良好な状況である。町で施工した公共下水道施設は平成元年からの施工で比較的新しく、民間開発から無償譲渡された施設においても、昭和40年代中頃のため、50年を経過する管渠はない状況である。平成27年度より施設の長寿命化工事を計画的に実施し、主に事故の未然防止を目的としたマンホールのふたの取替を実施しているため、③管渠改善率としてはカウントはされない。
全体総括
平成29年度においては打切決算の影響で数値が昨年に比べ大きく変動している。昨年と同様の算出方式では、下水道使用料と費用が比例して増加しており昨年とほぼ同様の結果となった。今後、地方債償還額は減少すると試算しているが、金額が高額であることに加え維持管理経費も微増傾向となり改善が必要な時期となってきている。公営企業会計が開始され、財務諸表等を分析活用した中期的な視点にたった「下水道ビジョン(経営戦略)」の計画策定が急がれる。なお、類似団体区分では人口3万人以上の下水道事業であることから、本町と同様に公営企業会計の適用による打切決算を行った団体が多く平均値についても変動幅が大きいと予想される。