経営の健全性・効率性について
発生する費用(※地方債元利償還金含む)を、経常的な収益でどの程度賄えているかを示す指標である収益的収支比率は、平成27年度実績によると、77.53%となっている。下水道使用料の見直しにより、平成24年度は改善したが、近年は地方債償還金および維持管理費の増加に伴い、比率は低下傾向にある。料金収入に対する企業債残高の割合を示す企業債残高対事業規模比率は、類似団体と比較すると低い数値となっている。企業債の償還が概ね計画的に進んでいる一方、近年の新規資本的投資の減少も、比率低下の要因となっている。経費回収率は平成27年度実績でも100%を維持しており、使用料で回収するべき経費については、全て使用料で賄えている状況にある。汚水処理に要した費用が有収水量1㎥あたりいくらかを示す汚水処理原価は、平成27年度実績によると152.52円となっており、類似団体と比較すると低い数値にはなっている。しかしながら、新規に整備した施設の維持管理費に加え、民間から譲渡された施設に係る維持管理費も年々微増傾向となっており、それに伴って処理原価も微増傾向を示している。下水道整備済区域に居住する人が、実際にどれだけ下水道を使用しているかを示す指標である水洗化率は、平成27年度実績で94.58%と高い水準を保ち、類似団体との比較においても良好な状況である。
老朽化の状況について
町施工の下水道施設は、平成初期以降に整備したものであり、耐用年数(50年)を経過した老朽化管路は存在しない。しかしながら、民間から譲渡された管路においては、昭和40年代中頃に整備された管路もあるため、今後維持管理や改良更新について検討が必要となってきている。現在直ちに改良更新を必要とする管路はないが、マンホールのふたの更新については、継続的に取り組んでいる。
全体総括
全国平均と比較した場合、経営の健全性・効率性の面において類似団体との比較では良好であることが確認できた。しかし、今後施設の維持管理費等の費用(※地方債元利償還金含む)の増加が見込まれる一方、現在の収益では収益的収支比率が更なる低下が予想される。発生する費用を経常的な収益で賄えない状況は、経営の健全性という観点において好ましい状況ではないため、状況の改善を図りたい。さらに、現在残り約20%となっている下水道普及率の向上のため、今後も未整備区域に対する整備促進に努め、併せて水洗化の促進にも努めたい。なお、平成28年度中に経営戦略の策定を予定しているが、平成30年4月に予定している公営企業会計適用後、健全で効率的かつ持続的な下水道事業が実施できるよう、より中長期的な視点にたった計画策定が必要であると考えている。