経営の健全性について
指標の項目については、公営企業平均値と比較し概ね良好な数値となっている。特に流動比率では、100%以上であることが必要とされている中で本市は大きく上回っている。また累積欠損金や企業債も無く、債務に対する支払能力は非常に高水準となっている。しかし、経常収支比率及び営業収支比率ともに100%未満である。その理由は、新型コロナウイルスの影響で減少した乗客の伸び悩みによる運送収益の落ち込みや、軽油価格の高騰や車両更新に伴う減価償却費などの費用の増加であり、経常収支比率及び営業収支比率ともに100%以上を計上出来ていない。また他会計負担比率については、地方公営企業への繰入金等で大きく増加した結果、公営企業平均値を上回ったものである。
経営の効率性について
走行キロ当たりの運送原価及び人件費が民間事業者平均値に比べて本市は大きく上回っている。運送原価が高い原因については、本市は通勤通学の時間帯に乗客数が集中し、住宅地と鉄道駅間の輸送が主なものになっていることから、輸送効率の観点から一方を回送としているためである。また人件費が高い原因についても、他事業者では、路線運行を外部委託しており「経費」として計上するが、本市は全て直営で「人件費」として計上しているためである。これらの理由から、走行キロ当たりの運送原価及び人件費が平均値と比較し高くなっている。
全体総括
全体においては累積欠損金や企業債も無く、流動比率についても非常に良好な水準であり、債務に対する支払能力を十分に有している。しかし、今後も軽油価格の高騰をはじめ、電気やガス代の高騰や車両更新も続くことから、厳しい収支予測を立てており、各比率も悪化することが懸念されている。今後はバス運行の効率化による人件費や経費の抑制を継続し、車両や各保有施設を利用した広告収入等の増収にも取り組み、収支改善を目指していくものである。