経営の健全性・効率性について
・裾野市下水道事業の会計方法は、法非適用企業であり、特別事業会計にて処理されています。平成26年度末で総収益(基準内一般会計繰入金のみ計上)から総費用と元利償還金の和を除した収益的収支比率は約90%と指標から判断すると単年度収支が赤字の状況です。そのため、基準外の一般会計繰入金を補填し、収支均衡させ事業を実施しております。これは、普及率が平成26年度末で37.8%と低く、経営基盤が確立されていないことが主な原因であり、今後とも早急な未普及解消事業を行う必要があります。・企業債残高対事業規模比率が年々減少推移していることから、資本投資に伴い普及率が向上し料金収入の増加と企業債の償還が進み償還残高が減少している傾向であると判断できます。しかし、類似団体比率と比較すると依然として比率が高い状況であり、類似団体等を参考に料金水準を再検討する必要があると考えられます。・経費回収率については、前述しておりますが、普及率が低いことから、使用料で回収すべき費用について、使用料収入で賄え切れていない状況です。しかし、平成27年度以降、富沢・桃園地区などのまとまった区域の供用開始見込みがあり回収率は上昇する見込みです。・汚水処理原価については、類似団体より若干低い数値ですが、これは処理場を保有しない当市下水道事業について、静岡県の流域処理場を利用することで効率的な汚水処理が行われており、適正な汚水処理原価となっていると判断できます。・水洗化率については、毎年度職員が未接続世帯を戸別訪問し接続啓発を行っており、水洗化率(接続率)は90%弱となっております。率は類似団体と同程度ですが、さらに水洗化率を上げ使用料収益を増加させるよう引き続き接続啓発を行っていく必要があります。
老朽化の状況について
裾野市下水道事業は、平成3年度から資本投資を開始しており、老朽管(法定耐用年数に近づいていいる管)は現時点ではありません。しかし、今後資産管理を厳格に行い、計画的なストックマネジメントにつなげていく必要があります。
全体総括
裾野市下水道事業は、供用開始が平成10年度と下水道事業としてはかなり若い(普及率が低い)分類に入ります。事業の性質上、普及率が低いことは、経営基盤の整備が進んでいないことを意味しており、本来必要となる使用料収入が不足し、一般会計からの基準外の繰入金を充当し事業展開している状況を示しております。最終的に、一般会計からの基準外繰入金をなくし、使用料収入で経営することを目指さなければなりません。そのために、当市下水道事業では、平成30年度からの地方公営企業法適用し営業活動の数値化や資産の把握を厳格化する予定です。また、平成29年度には資本投資の効率的な計画であるアクションプラン、そして投資計画に連動した中期的な経営計画である経営戦略を策定する予定です。今後、策定する計画に基づき効率的な経営を行い、普及率を向上させることが求められています。他方、日々の維持管理や将来必ず迎える管路等の更新についてはストックマネジメントの手法を取り入れ、計画的な将来予測と投資、そして適正な使用料の設定が重要となります。そのために、当市下水道事業では、社会資本整備総合交付金整備計画において、平成31年度に長寿命化計画策定の事前調査を予定しています。