地域において担っている役割
24時間体制の精神科救急医療、アルコール・薬物依存症、児童・思春期精神医療など多職種チームによる専門医療を提供している。また、他の医療機関では治療困難な精神疾患を持つ患者を全県から受入れている。認知症医療については、地域の関係機関と連携し、近隣市町村で進める認知症ケアパスに参加している。また、県内の精神科医療の向上に寄与するため、「精神科研修・研究センター」を設置し、医師や医療スタッフの育成や調査・研究に力を入れている。
経営の健全性・効率性について
・令和元年度は、類似病院平均値が下がる中、経常収支比率、医業収支比率ともに前年度を上回った。これは、入院診療単価の高単価維持、外来デイケア、訪問看護の利用者増による。・病床利用率は、措置入院件数の減少により前年と比較して下回った。・職員給与費対医業収益比率は、退職者の増加により減少した。・材料費対医業収益比率は、高額薬剤使用の増加や材料費の増加により、前年度を上回る比率となった。
老朽化の状況について
・有形固定資産は病院建築後の年数が浅いため、当面は施設維持に多額の費用を要する見通しはない。しかし、徐々に設備の修繕が増えていることから、今後施設の適切な管理を行い長寿命化を図るとともに、将来の大規模修繕・増改築に備える必要がある。・器械備品については、平成30年度に医療情報システム(電子カルテ)更新を行ったため、元年度は減価償却率が上昇した。その他の器械備品については償却率の上がり方の傾向から、今後入替えやメンテナンス等の費用が増加することが予想される。
全体総括
令和元年度は、①緊急時の入院受入れ体制の充実、②病床利用率80%の達成、③医療・福祉との連携強化、外来救急・ウォークインへの適切な対応の3点を目標として取り組んだ。引き続き政策医療を担う県立精神科病院として、精神科救急、m-ECT(修正型電気痙攣療法)、クロザピンの投与等の専門医療、アルコール・薬物依存症、児童・思春期、青年期の精神疾患への専門医療など、多職種チームによる高度な専門医療を提供し、他の医療機関では治療困難な精神疾患を持つ患者の受入れを行っていく。