地方独立行政法人長野県立病院機構：こころの医療センター駒ヶ根

地域において担っている役割

当院は、24時間体制の精神科救急医療、アルコール・薬物依存症、児童精神科など、多職種チームによる高度な専門医療を提供し、他の医療機関では治療困難な精神疾患を持つ患者を全県から受入れている。認知症医療については、地域の関係機関と連携し、近隣市町村で進める認知症ケアパスに参加している。また、県内の精神科医療水準の向上に寄与するため、精神科研修・研究センターを設置し、人材育成や調査・研究に力を入れている。

経営の健全性・効率性について

入院患者の減少及び入院単価の減少により収益が減少した。費用は給与費が人勧の影響等により前年を上回り、経常収支比率、医業収支比率ともに前年度より悪化している。病床利用率、1人1日当たりの収益（入院）が平均を上回り、職員給与費対医業収益比率及び材料費対医業収益比率が平均を下回っているにも関わらず、医業収支比率が平均を下回っている。設備投資（減価償却費）の比率が高いこと等が原因と考えられる。1床当たりの有形固定資産は、平均値を上回っていることから、他院よりも高い病床利用率及び1人1日当たりの収益が必要となる。なお、外来患者1人1日当たりの収益が27年度から下がったのは院外処方化によるものである。

老朽化の状況について

有形固定資産は建築後年数が浅いため、当面は施設維持に多額の費用がかかる見通しはない。適切な管理を行い、施設の長寿命化を図るとともに、将来の大規模修繕・増改築に備える必要がある。機械備品については、減価償却率が高くなっており、今後は機械備品の更新やメンテナンス等にかかる費用が増えることが予想される。

全体総括

病床利用率は、昨年度より下回ったものの長期的には上昇しており、施設の効率性は年々高まっている。しかし、病床利用率の変動が大きいため、それを安定させることが課題となっている。今後は、ベースアップ等による給与費の増が懸念されるが、病床利用率を向上させることで収支均衡を図っていきたい。また、精神障がいにも対応した地域包括ケアシステムの一翼を担うため、訪問看護ステーションの設置やデイケアのさらなる充実を図る構想がある。目指す姿と採算とバランスを考えて計画を進めたい。