経営の健全性・効率性について
水道事業では、①経常収支比率は前年並みを維持し、全国及び類似団体の平均を上回る水準を維持しています。また、②累積欠損金比率が0%を維持していることからも、単年度の経常収支は安定して黒字を維持できていると考えられます。これは、⑥給水原価が149.33円と平均に比べ低く抑えられている一方で、⑤料金回収率は133.71%と平均と比較して高い水準を保っており、経費を抑制しつつ料金収入で経費を賄うことができている裏付けとなっています。しかし⑦施設利用率、有収率ともに全国平均を下回っていることから、漏水や給水人口の減少が配水量の減少に影響していることが考えられ、長期的には給水収益(料金収入)の減少につながることが懸念されます。また、④企業債残高対給水収益率は全国及び類似団体平均を下回っているものの2年連続の上昇となっており、今後も設備更新に伴う借り入れを継続的に行う必要があることから、企業債償還金の増加が経営状態に影響することが懸念されます。
老朽化の状況について
②管路経年化率は、全国及び類似団体の平均を下回るものの、年々平均値に近づいており、①有形固定資産減価償却率は67.01%と平均を上回り高い水準となっており、耐用年数に近い施設が多いものと考えられます。加えて、③管路更新率が低い水準にあることから敷設替えなどによる管路の更新を含めた施設全体の計画的な更新、安定した給水量を確保するための水源開発等が今後の課題となっています。
全体総括
以上のことから、水道事業の経営状態は比較的良好な状態を維持していると考えられます。一方で、近い将来見込まれる管路などの施設更新や老朽化が進む施設の維持管理に伴う費用の増加、給水人口の減少、新型コロナウイルス感染症拡大の影響にによる給水収益(料金収入)の減少などに備えるため、一層の経費削減を進めるとともに、計画的な設備更新、業務の効率化、安定供給に向けた水源確保などに取り組む必要があります。