経営の健全性・効率性について
処理区域内人口が45人と非常に規模が小さく、使用料等により全ての費用を賄うのが困難な事業です。①経常収支比率は前年度より増加しましたが、80%に届かない状況であり、⑤経費回収率も50%を上回る程度にとどまっています。②累積欠損金比率は緩やかに上昇を続けています。⑥汚水処理原価は減少したものの、経営状況の劇的な改善には至りません。③流動比率は大きく減少しました。年度末における未払い費用の残高による変動要素が大きいですが、赤字基調の事業であるため、今後減少が続くことが見込まれます。④企業債残高対事業規模比率は、企業債残高が無いためゼロとなっています。事業の特性上、⑦施設利用率は低い値で推移しています。また⑧水洗化率は100%となっています。
老朽化の状況について
耐用年数が50年である管渠については、②管渠老朽化率や③管渠改善率が示すとおり更新はまだ発生していませんが、延長は2km程度であり、機械設備等の占める割合が本市の実施する他の下水道事業に比べて高いため、①有形固定資産減価償却率も他の下水道事業より高く、40%に迫る状況です。
全体総括
伊那市下水道事業経営健全化計画は、平成28年度に経営戦略の要件に合わせた4回目の改訂を行い、これに基づく改善の取組を継続しています。下水道事業会計(5事業全体)では、1億5千万円を超える過去最高の純利益を計上しました。本事業での採算性の確保は今後も困難な見通しですが、下水道事業会計としての持続可能な経営を目指していく方針です。少しでも経費の回収率を上げるため、平成29年度に平均+6.0%の下水道使用料の改定を行いました。