地域において担っている役割
精神科救急医療システムの基幹病院として、精神科救急病床を県内で最多の16床設置し、救急患者を積極的に受け入れるとともに、思春期医療を実施するほか、難治なうつ病等を対象とするストレスケア医療、アルコールや薬物等の物質依存症やギャンブル依存症を対象とする依存症医療、医療観察法医療といった専門的な医療の提供に加え、統合失調症の薬物療法の難治患者に対するクロザピンを用いた薬物療法を実施するなど、神奈川県の精神科医療の中心的役割を果たしている。また、認知症の早期発見に向け、平成29年度に開設した「もの忘れ外来」の診療体制を強化した。
経営の健全性・効率性について
④病床利用率が平成28年度以降毎年90%を超えていることもあり、①経常収支比率も毎年100%を超える水準で推移している。③累積欠損金比率は旧棟の除却により平成26年度から発生しているが、経営が安定していることから、年々減少傾向にある。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率については、平成27年度に旧病院を除却したことにより低下し、②器械備品減価償却率についても、平成26年度に新病院を開院したことにより、低率となったが、どちらの項目も年々上昇傾向にある。今後は、機器等の稼働状況や耐用年数を考慮し、計画的に更新していく必要がある。
全体総括
空床情報等の情報共有を徹底したほか、令和元年度に地域医療連携室、福祉医療相談科、訪問看護科の機能を包含した連携サポートセンターを設置し、受付、初診、入院、退院、退院後のフォローに至るまでの流れを整理することで、平均在院日数を短縮し、初診患者数が前年度比6.8%増、新入院患者数が前年度比12.4%増となった。その結果医業収益は増加したものの、運営費負担金収入の減少などにより経常収支比率は低下している。今後も引き続き、患者確保の取り組みを行うことに加え、地域の医療機関との連携強化によって効率的な病床運用を行い、収益を向上させるとともに、経費の抑制にも努め、安定した収支の確保を図る。