地域において担っている役割
神奈川県精神科救急医療システムの基幹病院が確保する33床のうち、最多の16床を確保し、救急患者を積極的に受け入れるとともに、思春期医療を実施するほか、難治なうつ病等を対象とするストレスケア医療、アルコールや薬物等の物質依存症やギャンブル依存症を対象とする依存症医療、医療観察法医療といった専門的な医療の提供に加え、統合失調症の薬物療法の難治患者に対するクロザピンを用いた薬物療法を実施するなど、神奈川県の精神科医療の中心的役割を果たしている。また、認知症対策として、平成29年度、新たにもの忘れ外来を開設した。
経営の健全性・効率性について
平成26年度の新病院の開院に伴い、芹香病院とせりがや病院を統合した関係で一時入院や外来を抑えたことから医業収益が低下し、②医業収支比率や④病床利用率が落込んでいるが、平成27年度以降については、各項目とも安定的に推移しており、その間①経常収支比率は毎年100%を超える水準で推移している。③累積欠損金比率は旧棟の除却により平成26年度から発生しているが、経営が安定していることから、年々減少傾向にある。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率については、平成27年度に旧病院を除却したことにより低下している。また、②器械備品減価償却率については、平成26年度に新病院を開院したことにより、平成26年度は低率となっているが、どちらの項目も年々上昇傾向にある。特に、平成29年度に新たに購入したMRIの減価償却が平成30年度に始まったことから、平成30年度の②器械備品減価償却率が大幅に伸びている。今後は、機器等の稼働状況や耐用年数を考慮し、計画的に更新していく必要がある。
全体総括
平成30年度は、入院依頼を受けた場合のフローチャートの見直しや空床情報等の情報共有を徹底したことで、前年度を4.6%上回る新入院患者を受け入れたものの、医業収益は減少し、給与費及び経費の増加などにより経常収支比率、医業収支比率ともに若干低下している。今後も引き続き医療機関向け病院見学会を開催するなど、患者確保の取り組みを行うことに加え、地域の医療機関との連携強化によって効率的な病床運用を行い、収益を向上させるとともに、経費の抑制にも努め、安定した収支の確保を図る。