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堅調な企業収益を背景とした都税収入の増収などにより、19年度から20年度にかけて、財政力指数が1.32から1.41まで上昇した。しかし、21年度以降はリーマンショックを契機とした企業収益の急速な悪化と法人事業税の暫定措置による減収の影響により、基準財政収入額が大幅に減少(21年度:対前年度比-24.3%(-6,115億円)、22年度:同-18.9%(-3,599億円))した。23年度においては、対前年度比2.3%(353億円)改善したが、分母である基準財政需要額が対前年度比6.2%(1,090億円)と増加したため、23年度には0.96まで下落した。
19年度においては、都税収入の増収などにより経常収支比率が80%台前半まで上昇したが、20年度から23年度にかけて4年連続の減収、特に21年度においては1兆円以上の減収となったことにより、現在は90%台中盤で推移している。23年度においては、算定上の分母である歳入(経常一般財源等)が対前年度比-0.9%(-287億円)で引き続き減収となったが、分子である歳出(経常的経費充当一般財源等)が公債費や人件費の減などで同-0.1%(-47億円)となり、前年度から0.7ポイント上昇し、95.2%となった。このように、景気の動向に税収が大きく影響を受ける都財政では、経常収支比率が税収の動向に左右されやすい構造となっている。
19年度から21年度にかけて約4,000人の定数削減を行うなどの内部努力や減額給与改定などにより、人件費の削減に努めている。その結果、人口1人当たり人件費・物件費等決算額は減少し続けており、23年度においては対前年度比-0.4%となっている。
前年度に比べ上昇しているが、これは、平成24年4月から国家公務員は給与減額支給措置により、給料月額の減額を実施しているためである。都職員の給与は、毎年、人事委員会が民間企業の給与の実態を調査して行う勧告に基づき、都議会の審議を経て条例により決定されており、都内の民間企業の給与水準を適正に反映する仕組みとなっている。都内民間企業の賃金水準は、厚生労働省の平成23年の賃金構造基本統計調査によれば、全国を100とした場合に、123.9となっており、都道府県で最も高い水準になっている。都においては、今後とも引き続き、人事委員会勧告に基づき、適正な給与水準を保っていく。
22年度から23年度にかけて、執行体制の抜本的な見直し等を行う一方で、高度な防災都市の実現やスポーツ祭東京2013の開催準備など、都政の重要課題の解決に向けて必要な体制・人員を措置するとともに、都民サービスに直結する学校職員の増員により、全任命権者(都全体)で職員数は増加している。引き続き徹底した内部努力を行い、限られた人材を有効に活用しながら、新しい時代に対応した少数精鋭による効率的な執行体制の構築に努めていく。
実質公債費比率が毎年減少している主な要因は、算定上の分子である元利償還額が減少していることによる。また、算定上の分母である標準財政規模は、19年度から20年度にかけて増加していたため、分子・分母ともに改善されていたが、21年度以降は分母の減少により、当該指標が上昇する方向に動いているものの、元利償還額の減少率が分母の減少率を上回るため、実質公債費比率は改善の方向に動いている。23年度において、3か年平均では0.7ポイント改善し1.5%となった。都にあっては、都市計画税を都道府県で唯一特例で課税しているため、他道府県に比べて実質公債費比率が低くなっている。
堅調な企業収益を背景とした都税収入の増収などにより、20年度までは標準財政規模の増加や充当可能基金の増加などにより、60%台前半まで改善した。しかし21年度以降、将来負担額は着実に減少しているものの、急速な企業収益の悪化など標準財政規模の大幅な減(21年度:対前年度比-19.0%(-8,144億円)、22年度:同-17.5%(-6,041億円))により、90%台前半まで上昇した。23年度においては、標準財政規模は減少したが、将来負担額は対前年度比-2.4%(-553億円)となった結果、将来負担比率は0.7ポイント改善し、92.7%となった。
人件費については、19年度から21年度にかけて約4,000人の定数削減を行うなどの内部努力や減額給与改定などにより、20年度以降減少が続いている。しかし、算定上の分母である歳入が都税収入の大幅な減などにより、21年度は対前年度比-19.0%(-7,802億円)となったため、7.0ポイントの上昇となった。23年度においても歳入が対前年度比0.9%(287億円)の減となったが、人件費については対前年度比-1.9%(-250億円)により、0.4ポイントの改善となっている。
19年度から20年度にかけては安定した比率で推移しており、21年度における上昇は、前述のとおり歳入の減によるものである。22年度においては、職員に係る児童手当及び子ども手当の性質別歳出項目が人件費から変更されたことに伴う純増(76億円)があったため、0.3ポイントの上昇となった。23年度においては、社会保障関連の歳出が増加し、0.2ポイントの上昇となっている。
その他については、貸付金増減額の影響により、全体経常収支比率と傾向が異なる。19年度において対前年度比179.0%(376億円)のため、歳入増にも関わらず0.9ポイントの上昇、21年度において同-74.9%(-240億円)のため、歳入の大幅な減にも関わらず0.3ポイントの改善となった。22年度において、対前年度比530.7%(427億円)と1.3ポイントの上昇となったが、23年度においては対前年度比-22.7%(-116億円)となり、0.3ポイントの改善となった。
補助費等については、全体経常収支比率とほぼ同じ傾向であり、上昇した要因も同様である。23年度については、社会保障関連などの歳出が増加し、対前年度比5.4%(522億円)となり、1.8ポイント上昇し31.2%となった。
公債費については、歳出年度以前の都債発行額の影響が大きいため、全体経常収支比率の傾向と大きく異なっている。23年度については、元金償還金の減などにより、対前年度比-4.8%(-243億円)となったため、0.6ポイント改善し14.8%となった。