経営の健全性・効率性について
「①経常収支比率」は100%を超え、平成12年度から19年連続で純利益を計上していることから、本県の経営状況は比較的安定していると言える。昭和50年度以降、累積欠損金は発生しておらず「②累積欠損金」は0%と健全経営を維持している。「③流動比率」は、短期債務に対して十分な支払能力を有しているとされる、概ね200%の水準を大幅に超えて確保しており、財務状況は良好である。「④企業債残高対給水収益比率」は類似団体と比べて低い数字となっており、また毎年比率は減少している。これは償還に伴う企業債残高の減少や企業債の繰り上げ償還の実施、平成12年度以降新たな企業債の発行を中止してきたことなどにより、企業債残高の圧縮に努めてきたためである。「⑥給水原価」は委託料や減価償却費などの費用が増加し、H30年度は前年度比1.92円増加した。このため「⑤料金回収率」は前年度より減少したものの、数値は100%を超えており、良好な状態と言える。配水量の増加により、「⑦施設利用率」は近年増加傾向にある。なお、本県の料金については責任水量制を採用しているため、施設利用率が低いことが直ちに給水収益に影響を及ぼすものではない。「⑧契約率」は事業所の廃止・撤退に伴う契約水量の減少により、年々減少が続いている。
老朽化の状況について
「①有形固定資産減価償却率」は施設や管路などが古いもので取得後50年以上経過しており、類似団体と比べて高い数字となっている。「②管路経年化率」は、事業創設時に敷設した管路が既に法定耐用年数を経過しており、また、本県の事業開始が比較的早かったことから、類似団体と比べて高い数字となっている。「③管路更新率」は0%であるが、策定した管路更新計画に基づき、更新を進めていく予定である。
全体総括
これまでのところ、経営の健全性・効率性はいずれも概ね良好な状況であり、現状の財務内容は健全であると言える。しかし、節水や生産ラインの合理化、工場の移転等に伴う事業所数の減少により、契約水量は今後も減少していく見込みである。また、老朽化した施設や管路の更新に費用がかかるため、今後の収支は悪化する見込みである。このため、維持管理コストの縮減や積極的な営業活動等による販路の拡大などを行うことで、今後の安定的な事業運営の維持に努めていく。