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地方財政ダッシュボード

富山県南砺市の財政状況(2021年度)

🏠南砺市

地方公営企業の一覧

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収録データの年度

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総括表

人口の推移

財政比較分析表(2021年度)

財政力指数の分析欄

財政力指数は、類似団体平均を大きく下回っている。その主たる要因は以下のとおりである。①基準財政収入額・生産年齢人口の減に加えて、令和3年度は新型コロナウイルスの影響を受け、市税収入が減少傾向にある。②基準財政需要額・「市域が広域であり、人口密度が低いこと」、「人口減少が進んでいること」、「高齢化が進んでいること」などの要因により、道路橋りょう費(市道の面積・延長)、保健衛生費(水道・病院)、下水道費、高齢者保健福祉費、地域振興費等が増加している。引き続き、「選択と集中」による歳出の徹底した見直しと、人員の適正配置と組織機構の見直し、公共施設の再編に努めながら、喫緊の課題である人口減少対策に係る施策等に取り組む必要がある。

経常収支比率の分析欄

維持補修費及び公債費の増加などにより、類似団体平均を上回っている。前年度から微増となった要因としては、経常経費充当一般財源の増加額及び増加率が、経常一般財源等のそれらを上回ったためである。主な増加項目は以下のとおり(経常経費充当一般財源等)・集中的な降雪に伴う維持補修費(除雪経費、スキー場施設設備の修繕経費)の増加・大口起債の元金償還開始による公債費の増加(経常一般財源等)・普通交付税の再算定及び追加交付による増加・上記理由により、臨時財政対策債の発行可能額の一部を発行しなかったことに伴う減少

人口1人当たり人件費・物件費等決算額の分析欄

類似団体平均を大きく上回っている主たる要因として、維持補修費の著しい増加(+165百万円)が挙げられ、大雪による除雪経費の増加や施設の維持修繕費の増加が影響している。公共施設の保有数が類似団体と比較して多いことから、管理委託料、維持修繕費が嵩み、物件費及び維持補修費が増加しやすい傾向にある。そのため、公共施設の民間譲渡、統廃合等を進め、人口規模及び財政規模に見合った施設数にする必要がある。また、人件費については、令和2年度までの「第2次定員適正化計画」に基づく人員削減目標を達成したところであるが、令和3年度から令和12年度までの「第3次定員適正化計画」に基づき、さらに101人の削減を目標に、計画的に職員配置の見直しを進めていく。

ラスパイレス指数の分析欄

市町村合併以前からの給与水準及び体系を引き継いでおり、類似団体内でも低い水準となっている。ラスパイレス指数は、国の給与水準と比較した数値であり、比較対象となっている国と経験年数階層内における職員分布の変動が、近年の指数変動の要因となっている。今後も引き続き、適正な給与水準を維持するよう努める。

人口1,000人当たり職員数の分析欄

令和2年度:527人⇒令和3年度:520人(-7人)市の面積が広大であり、合併前の旧町村ごとに市民センター、保育園等を配置しており類似団体よりも上回っている。平成27年度からの第2次定員適正化計画で定めた削減目標(令和2年度までの5年間で-22人)を達成した。また、令和2年度には分庁舎を統合し、旧町村ごとの市民センター職員数の見直しを行った。さらに、第3次定員適正化計画では、令和2年度以降の10年間の削減目標(一般行政職員数-101人)を設定しているが、庁舎統合による業務の効率化や行政組織の再編・統合により、計画的に職員配置の適正化を進めていく。

実質公債費比率の分析欄

平成30年度まで前年度決算剰余金等を活用しながら、既発債の繰上償還を積極的に実施したため、実質公債費比率は低い値で推移しており、地方債の許可基準となる18.0%以下を大きく下回っている。ただし、財政運営上の方針により、令和元年度以降は繰上償還を実施していない(今後の一般財源の不足を見据え、純繰越金の使途を基金積立に変更した。)ため、今後の実質公債費比率は上昇傾向が見込まれる。また、令和2年度以降は合併特例債が発行できず、その分を交付税措置率の低い地方債に振り替えていることや、過去の大型建設事業に係る元金償還の開始により、中期的な実質公債費比率は、6%から8%まで増加する見通しである。今後も適切な水準を維持するためには、地方債発行規模の適切な圧縮が必要であると考える。

将来負担比率の分析欄

平成24年度から継続して将来負担は生じていない。主たる要因は、「①繰上償還を積極的に実施し、起債残額の圧縮に努めてきたこと」、「②合併特例債、辺地対策事業債、過疎対策事業債等の交付税措置率の高い地方債を多く活用しており、交付税で措置される見込額が大きいこと」及び「③基金積立を適切に継続した結果、地方債の償還に充当可能な基金を確保できていること」の3点が挙げられる。しかし、令和2年度以降は、合併特例債の発行期間終了に伴い、交付税措置率の低い地方債へシフトせざるを得ない状況である。また、中長期的には、人口減に伴う市税・普通交付税の減少、各種インフラの維持管理経費の増加が見込まれ、今以上に基金の取崩しが増加し、充当可能基金残高が減少していく見通しである。したがって、将来負担を発生させないためには、継続的な地方債の発行額の抑制、財源確保・予算規模の見直しを適切に行う必要がある。

経常経費分析表(経常収支比率の分析)(2021年度)

人件費の分析欄

人件費に係る経常収支比率は、合併前の旧町村の給与水準及び体系を引き継いだ影響もあり、類似団体・全国平均に比べて低い状態が続いている。職員数は、旧町村単位に設置している市民センター及び保育園に職員を配置しているため、類似団体に比して多い。しかし、定員適正化計画に沿った職員数の見直しや、統合庁舎への移行及びRPA導入による業務効率化を進めており、適正な水準となるように努めている。一方、給与費は、初任給、昇給等を国に準じており、ラスパイレス指数も類似団体平均より低くなっていることから、適正な水準であると考える。

物件費の分析欄

旧町村時代に設置した公共施設を引き継いでおり、類似団体と比較しても施設保有数が多く、それらに係る維持管理費が嵩んでいる。このため、財政計画ローリングに基づく計画的な事業の執行、事業精査による事業費抑制に努めてきた。結果として、経常経費に係る物件費は、類似団体の平均を下回る状態が続いている。経常的な物件費の縮減には施設再編が不可欠なため、公共施設再編計画に基づく民間譲渡や統廃合により、財政規模に適した施設数へと見直しを進めていく必要がある。

扶助費の分析欄

例年と同様に、児童福祉費及び生活保護費が類似団体平均に比べて低いため、扶助費に係る経常収支比率が低くなっている。また、令和2年度に引き続き、新型コロナウイルス対策事業費が増嵩し、臨時経費の割合が高くなった分、経常経費の割合が低くなったことも影響している。近年は、自立支援給付事業費(障害福祉サービスの給付)の増加が続いており、この比率は、中・長期的に上昇することが見込まれる。経常的な扶助費は、削減が困難なものが多いため、その他の経費で歳出の抑制を図り、一般財源の確保に努める必要がある。

その他の分析欄

その他に係る経常収支比率が類似団体平均を上回り、前年度から1.4%上昇している主な要因として、大雪による除雪経費の増加(+182百万円)、市内スキー場施設設備の修繕(+85百万円)が挙げられる。なお、その他の項目は、維持補修費(除雪経費が含まれる。)が大部分を占めており、類似団体平均に比べて経費が嵩んでいる傾向にある。道路・橋りょうのほか、公共施設の老朽化等により、維持補修費が今後も増加することが見込まれるため、計画的な修繕、事業精査、そして公共施設の再編に努める必要がある。

補助費等の分析欄

補助費等に係る経常収支比率は、類似団体平均に比べて高い状態が続いている。このうち、公営企業会計に対する繰出金(病院事業会計及び下水道事業会計)、一部事務組合等への分担金(主に常備消防費及び清掃費)が大きなウエイトを占めており、毎年同様の傾向となっている。分担金については削減が困難なものが多い。そのため、公営企業において、経営健全化計画に基づく収支の改善を図り、公営企業会計に対する基準外繰出金の圧縮を進める必要がある。

公債費の分析欄

公債費に係る経常収支比率は、合併特例債や過疎対策事業債を活用して実施した大型建設事業に係る償還額が嵩んでいるため、類似団体平均よりも高い状況が続いている。公共施設の再編を進めていることから、新たな公共施設及びインフラの整備は減少傾向である。しかし、小・中学校の改修等が今後も計画的に予定されているため、この比率が急速に低下することはないと考えられる。実質公債費比率に注視しながら、地方債充当事業の精査や地方債発行額の抑制に努めるとともに、場合によっては、可能な範囲での繰上償還の再開も検討する必要がある。

公債費以外の分析欄

公債費以外に係る経常収支比率については、類似団体平均を下回る状態が続いている。ただし、補助費等については、類似団体平均よりも高くなっているため、公営企業への基準外繰出金の圧縮のほか、市特有の事情を考慮する必要性が薄いものを積極的に見直し、改善を図る必要がある。また、公共施設の保有数が多いことに起因する物件費及び維持補修費の増嵩については、公共施設再編計画に基づき、施設の再編・統廃合を進める。

目的別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2021年度)

議会費

労働費

消防費

諸支出金

総務費

農林水産業費

教育費

前年度繰上充用金

民生費

商工費

災害復旧費

衛生費

土木費

公債費

目的別歳出の分析欄

・総務費104,453円(前年比-99,078円)…新型コロナウイルス対策として実施した令和2年度限りの「特別定額給付金(-4,988百万円)」の皆減により、住民一人当たりの総務費が大幅に減少した。しかし、類似団体平均よりも高い状態が続いているため、職員数の適正化や業務の効率化による人件費の縮減等に努める必要がある。・民生費182,026円(前年比+20,449円)…新型コロナウイルス対策として実施した「子育て世帯への臨時特別給金(+566百万円)」、「住民税非課税世帯等臨時特別給付金(+267百万円)」などにより、住民一人当たりの民生費が増加した。また、近年は、自立支援給付事業費、介護保険組合への負担金が増加傾向にある。・衛生費75,192円(前年比+7,915円)…衛生費の35%程度が病院事業会計への繰出金となっており、市内に2つの病院を有していることから、類似団体と比較して住民一人当たりの費用が高くなる傾向にある。また、新型コロナウイルスワクチン接種に係る費用の大幅増加(+348百万円※繰越分含む)により、前年度に比して住民一人当たりの衛生費が増加した。・農林水産業費40,280円(前年比+5,929円)…干柿共同加工施設整備事業への補助(+243百万円)など、事業費規模の大きい繰越事業があったことから、住民一人当たりの農林水産業費が増加した。また、類似団体平均よりも高いことについては、市域に占める農耕面積、森林面積が広大であるため、農業支援、林道整備、森林育成等に対する経費が増嵩しているためだと考えられる。・商工費34,286円(前年比-1,433円)…新型コロナウイルス対策関連の事業費が減少したことにより、住民一人当たりの商工費が減少した。なお、中小企業金融対策や企業立地推進補助事業を実施しており、その年度の申請の有無により、住民一人当たりの費用が増減することがある。・土木費101,882円(前年比-310円)…住民一人当たりの土木費については、ほぼ横ばいとなっている。なお、市域が広大であり、市道延長が類似団体に比して長いため、除雪経費及び道路橋りょうの維持管理費が増嵩する傾向にある。今後とも、事業の精査及び計画的な更新・維持に努める必要がある。・消防費22,493円(前年比-2,669円)…消防費の約8割を占める一部事務組合への負担金が、類似団体平均を大きく上回る要因となっている。一部事務組合が管轄する圏域が広域であり、支部を複数設けていることから、経費が増嵩していると考えられる。・教育費82,495円(前年比+4,361円)…小・中学校の整備に係る繰越事業の規模が大きかった(+394百万円)ことから、住民一人当たりの教育費が増加した。その一方で、新型コロナウイルス対策関連事業費(-115百万円)の減や学校関連の普通建設事業費の減があったことにより、全体としての増加幅は小さくなっている。

性質別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2021年度)

人件費

補助費等

災害復旧事業費

投資及び出資金

物件費

普通建設事業費

失業対策事業費

貸付金

維持補修費

普通建設事業費(うち新規整備)

公債費

繰出金

普通建設事業費(うち更新整備)

積立金

前年度繰上充用金

性質別歳出の分析欄

住民一人当たりの歳出額は755,000円(前年比-57,620円)となった。前年度と比較して、新型コロナウイルス対策関連の事業費が大幅に減少(-5,262百万円)したことが、歳出決算総額を押し下げた要因となっている。令和3年度において、住民一人当たりの歳出額が大きく増減したもの、類似団体平均を大きく上回るものは以下のとおりである。・維持補修費29,945円(類似団体比+21,229円)…大雪により除雪経費が増加(+182百万円)したことにより、住民一人当たりの維持補修費が増加している。類似団体平均よりも高い状態が続いているため、計画的な修繕、事業精査、そして公共施設の再編を推進し、老朽化に伴う施設の維持修繕費の抑制を図る必要がある。・扶助費81,447円(前年比+15,344円)…新型コロナウイルス対策として実施した「子育て世帯への臨時特別給金(+563百万円)」、「住民税非課税世帯等臨時特別給付金(+267百万円)」などが住民一人当たりの扶助費の増加の主な要因である。・補助費等125,999円(前年比-115,722円)…新型コロナウイルス対策として実施した「特別定額給付金(-4,988百万円)」の皆減により、住民一人当たりの補助費等が大幅に減少した。しかし、類似団体平均よりも高い状態が続いていることから、経常的な補助費のうち、見直しの余地があるものを改善していく必要がある。・普通建設事業費94,131円(前年度比+11,893円)…義務教育学校の整備(+307百万円)、干柿共同加工施設整備事業への補助(+243百万円※繰越分)などの大型建設事業の実施により、住民一人当たりの普通建設事業費が増加した。施設の再編等により中長期的には逓減していくが、今後も小・中学校の改修事業等が予定されおり、年度間での増減の発生が考えられる。・公債費103,452円(類似団体比+47,723円)…合併特例債や過疎対策事業債を活用して実施した大型建設事業に係る償還額が嵩んでいるため、類似団体平均よりも住民一人当たりの公債費が高い状況が続いている。今後は、財政規模を考慮し、地方債の発行規模の抑制に努める必要がある。・投資及び出資金18,647円(類似団体比+13,555)…病院事業会計及び下水道事業会計への繰出金である。市内に2つの病院を有していること、市域が広大で人口密度も低いため下水道の維持管理経費が嵩むことから、類似団体平均よりも高い水準となっている。今後、経営改善及び基準外繰出金の圧縮に努める必要がある。

実質収支比率等に係る経年分析(2021年度)

分析欄

・標準財政規模は、普通交付税の追加交付があったため、前年度から563百万円増加した。しかし、実質収支は、普通交付税の追加交付等に伴う一般財源の増額や、新型コロナウイルス感染症の影響による事業等の中止や規模縮小に伴う事業費の減少、翌年度繰越事業費が減少したことなどにより、昨年度に比べて増加している。結果として、実質収支比率は上昇した。また、実質単年度収支は、実質収支の増加や、財政調整基金の取崩を上回る額の積立てもあり、黒字となった。・普通交付税の追加交付といった実質収支等の比率を改善する要素が、例年あるわけではないため、引き続き、事務事業の適正化・効率化を通じて歳出の抑制を図り、健全な財政運営に努めていく。・財政調整基金は、標準財政規模の10%~15%程度を確保する方針としている。令和3年度は、補正予算の財源として取り崩したが、先述の方針に掲げる水準の額を確保している。今後の市税及び普通交付税等の一般財源の減少に備え、当面の間、必要な積立てを行う。

連結実質赤字比率に係る赤字・黒字の構成分析(2021年度)

分析欄

全ての会計で黒字であり、実質赤字比率はない。【一般会計】普通交付税の追加交付等に伴う一般財源等が増額した一方で、新型コロナウイルス感染症の影響による事業等の中止や規模縮小に伴う事業費の減少、翌年度繰越事業費が減少したことなどにより、実質収支額は昨年度に比べて増加した。ただし、公共施設の維持修繕費、除雪対策費等の経常的経費の増加傾向が続いている一方、歳入一般財源の減少が見込まれているので、黒字幅及び黒字額の標準財政規模比の注視が必要である。【病院事業会計】新南砺市立病院改革プラン(令和3年度~令和7年度)に基づく取組や、一般会計からの繰入の継続等により、経常収支の黒字を維持できている。なお、令和5年度に市立病院経営強化プランを策定する予定である。将来にわたって安定した経営を展開できるよう、同プランに基づき、将来的な医療需要・医療体制に対応できるよう、病院機能の集約・分化を図る必要がある。【水道事業会計・下水道事業会計】水道事業、下水道事業ともに経常収支の黒字を維持できている。ただし、下水道事業のうち、公共下水道及び特定環境保全農業集落排水事業及び個別排水処理事業は、例年、経常損失の額が大きくなっているので、今後の下水道事業全体の事業継続に向けた財源確保対策等の検討が必要である。なお、水道事業、下水道事業ともに経営戦略を改訂しており、将来の人口減少による使用料収入の減少や老朽施設の更新を視野に入れ、改訂した経営戦略に基づきながら、漏水や不明水対策等により有収率を高めるとともに、料金改定・その他財源の確保を検討し、経営の健全化に取り組む必要がある。

実質公債費比率(分子)の構造(2021年度)

分析欄

実質公債費比率(3年間平均値)・R14.31・R24.80・R35.43上記のとおり、実質公債費比率(3か年平均)は上昇が続いている。数値の上昇の要因として、「①令和元年度以降から決算剰余金の使途を繰上償還から基金積立に変更したこと」、「②過去の大型建設事業に係る元金償還の開始によって元利償還金が増加していること」が挙げられる。現時点での公債費のピークは令和5年度を見込んでおり、この点を考慮すると、今後の実質公債費比率は、6%から8%台まで増加すると考えられる。また、公営企業債の元利償還金については、施設の更新が本格化するまでの間は減少傾向が続いている。ただし、今後の設備更新を迎える時期は、元利償還金の増額幅の注視が必要である。なお、令和2年度以降、合併特例債の発行期間満了に伴い、建設事業に対し、交付税措置率が極めて高い合併特例債ではなく、交付税措置率の低い地方債を充当しなくてはならない。そのため、地方債の発行規模を圧縮しなければ、実質公債費比率の悪化が加速するおそれがある。今後は、実質公債費比率に注視し、その適切な水準を維持するために、必要に応じて地方債発行規模を圧縮する必要がある。

将来負担比率(分子)の構造(2021年度)

分析欄

平成30年度まで繰上償還を毎年実施してきたため、将来負担額が抑えられてきた。また、将来的に市の負担が見込まれる経費に対応する特定目的基金(公共施設再編基金等)を設置し、適切に積立てを継続しているため、充当可能基金も一定規模を確保できている。一方で、基準財政需要額算入見込額は、令和元年度以降、減少幅が大きくなっている。これは、令和2年度以降に合併特例債の発行ができなくなったため、その分が基準財政需要額への算入率の低い地方債に振り替えられたためである。ただし、辺地対策事業債や過疎対策事業債といった基準財政需要額への算入率が高い地方債を活用できる状況にあるため、一定規模の算入見込額は維持できていると考えられる。また、将来負担額の抑制、充当可能基金及び基準財政需要額への算入見込額を維持していることにより、将来負担比率は発生していない。ただし、中長期的には、人口減に伴う市税・普通交付税の減少、各種インフラの維持管理費の増加が見込まれ、今以上に基金の取崩しが増加することが想定される。したがって、将来負担を発生させないためには、継続的な地方債の発行額の圧縮、財源確保・予算規模の見直しを適切に行う必要がある。

基金残高に係る経年分析(2021年度)

基金全体

(増減理由)令和3年度は、南砺市総合戦略に基づく事業の財源として地方創生推進基金を182百万円、各種子育て支援事業の財源としてすこやか子育て基金を142百万円、各種新型コロナウイルス感染症対策事業の財源として新型コロナウイルス感染症対策基金を90百万円それぞれ取り崩すなど、基金全体で1,021百万円を取り崩した(うち、特定目的基金の取崩し:698百万円)。一方で、第2次南砺市総合計画に基づく重点事業の財源として地方創生推進基金に814百万円、各種公共施設の整備のための財源として施設等整備基金に305百万円をそれぞれ積み立てたほか、切れ目のない子育てサービスの提供のための財源としてすこやか子育て基金に154百万円を積み立てるなど、基金全体で2,213百万円の積立てを行った。その結果、令和3年度の基金残高は25,101百万円(前年度比+1,191百万円)となった。(今後の方針)今後の中長期的な財政見通しでは、歳入面で人口減少等による市税及び普通交付税の減少が顕著となることが予見され、特に、令和8年度以降において一般財源不足額が大きくなると試算している。そのため、過去に継続的に実施してきた繰上償還を令和元年度から一時中断し、特定目的基金への積立てを強化している。また、令和2年度から、既存事業の抜本的な見直しを5年間かけて(令和7年度まで)行い、これによる予算規模の圧縮を図りつつ、計画的に基金を活用していくこととしている。

財政調整基金

(増減理由)令和3年度は、新型コロナウイルス感染症対策事業の実施や、令和4年1月・2月の大雪に係る除排雪経費、年度途中の公共施設の維持修繕に要した費用の財源に充てたこともあり、取崩し額は323百万円となった(前年度比+142百万円)。一方で、新型コロナウイルス感染症の影響による事業等の中止や規模縮小に伴う事業費の減少、各種交付金等の一般財源が増額したことから、令和3年度末の基金残高は3,514百万円(前年度比+66百万円)となった。(今後の方針)基金残高は、総務省が平成29年度に公表した地方公共団体における基金に係る結果を参考にしており、標準財政規模の10%~15%を保持できるように努めている。中長期的な財政見通しでは、令和8年度以降に一般財源の不足が顕著となると見込んでいるため、令和2年度から5年間かけ(令和7年度まで)、従来から実施してきた事業の抜本的な見直しを行い、予算規模の圧縮を図る。

減債基金

(増減理由)公債費償還金の年度間平準化を図る観点から、当該年度の元利償還金のうち、普通交付税の算定で基準財政需要額に算定されない元利償還金に対し、おおむね20%を目安に充当することを基本としている。また、合併特例債が発行限度額に達して活用できなくなったことから、交付税措置率の低い地方債に移行しているが、急激な公共事業の圧縮は困難であるため、当面の間、減債基金の取崩し規模を2倍に拡大することとしている。しかし、公債費以外の経費で財源確保が図られた結果、年度末で減債基金を取り崩さなくても一般財源を確保することができたことから、令和3年度は減債基金の取崩しを行わず、基金運用益の積立てを行った。結果、年度末での基金残高は6,293百万円(対前年比+216百万円)となった。(今後の方針)上記に基づき、当面の間、約500百万円/年を繰り入れる予定としている。ただし、起債発行規模が中期でそこまで大きく減少しない場合は、減債基金を活用した繰上償還の実施も検討する。

その他特定目的基金

(基金の使途)・合併地域振興基金:住民の一体感の醸成、魅力あるまちづくり及び元気な地域づくりの推進を図るため資金を積み立てるもの・公共施設再編基金:公共施設再編計画の確実な実行に充てるため積み立てるもの・施設等整備基金:市の施設等の整備するための資金を積み立てるもの・地方創生推進基金:南砺市総合戦略に係る事業の継続的な推進を図るための資金を積み立てるもの・すこやか子育て基金:次代を担う子どもたちの健やかな成長を図り、結婚、妊娠、出産、子育て及び教育まで切れ目のないサービスを提供できる環境づくりに資するため積み立てるもの(増減理由)・施設等整備基金:道路施設に要する経費が増加したため、取崩しは前年度から29百万円増加したが、今後のインフラ設備の維持補修費や公共施設の維持管理費の増嵩に備え、令和3年度に305百万円を積み立てた。その結果、年度末残高は2,137百万円(前年度比+218百万円)・地方創生推進基金:第2次南砺市総合計画の策定に伴い、地方創生推進基金からの繰入を再開したため、取崩し額は前年比+179百万円の+182百万円となった。しかし、同計画に基づく事業のうち、特に推進する事業の財源として別枠で200百万円を追加で積み立てた結果、積立て総額が前年比+306百万円の814百万円となった。結果として年度末残高は1,995百万円(前年度比+631百万円)となった。・すこやか子育て基金:こども・妊産婦の医療費給付及び保育料軽減事業等の子育て関連サービスの財源として142百万円を取り崩した一方、令和2年度と同水準の積立て(154百万円)をしたため、年度末残高は1,583百万円(前年度比+13百万円)となった。(今後の方針)・合併地域振興基金:分庁舎廃止後の新たなまちづくりの推進に必要となる複合施設等の整備事業等に、本基金を活用することとしている。・公共施設再編基金:第2次公共施設再編計画に基づく施設修繕に、本基金を活用することとしている。

公会計指標分析・財政指標組合せ分析表(2021年度)

有形固定資産減価償却率の分析欄

当年度に増加した資産の取得額以上に既存資産の減価償却費が大きいため、有形固定資産減価償却率は上昇傾向(前年度比+1.6%)にあり、施設の老朽化が進んでいるとも言える。今後、多くの施設が更新等を順次迎えることになるため、引き続き、公共施設再編計画に基づき、施設等の集約化・複合化を進めるとともに、維持していく施設については更新や長寿命化等の適正な管理に努める。

債務償還比率の分析欄

平成18年度から平成30年度までの間、任意繰上償還(市債の前倒し返済)を継続的に実施したことで、将来負担額の減少が図られた。また、近年は地方債の償還額が発行額を上回っており、地方債残高が減少傾向(前年度比-1,555百万円)にある。このため、類似団体と比較して低い比率(債務償還可能年数が短い)となっている。しかし、財政事情により、令和元年度以降から任意繰上償還を見送っていること、また今後、公共施設・設備等の更新の増加などにより地方債残高が増えれば、債務償還比率が悪化する可能性があることから、地方債充当事業を厳選し適正な発行に努めると共に、必要に応じて地方債発行額の抑制等を行っていく。

分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析

当市は将来負担比率がなしとなっており、その主な要因としては、将来負担額に対して充当可能基金残高が多く、また交付税措置率の高い地方債を活用していることがあげられる。このため、左のグラフに「当該団体値」は表示されていない。しかし、今後、施設や設備の更新等に伴う地方債残高の増加や、中長期的には人口減に伴う市税・普通交付税の減少が見込まれ、各種インフラ施設の維持管理経費に係る基金の取崩しが増加し、基金残高の減少が想定される。このため、将来負担比率を注視しながら、「有形固定資産減価償却率」に既述したとおり、減価償却率は上昇傾向にあるため、各施設の需要の多寡、減価償却率等の指標を踏まえた上で、計画的な施設の更新と公共施設の再編を着実に進める必要がある。

分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析

上記「将来負担比率と有形固定資産減価償却率の推移」と同様に、将来負担比率がなしのため、左のグラフに「当該団体値」は表示されていない。実質公債費比率については、平成18年度から平成30年度までの間、毎年10億円前後の任意繰上償還を実施し、将来負担額の減少が図られたことで、低い水準を保っている。しかし、①令和元年度以降は任意繰上償還を見送っていること、②大型建設事業のために発行した市債の元金償還が開始されたこと、③交付税措置率の高い合併特例債が活用できなくなったことが影響し、実質公債費比率は前年度に比べて0.6%上昇しており、今後も上昇傾向が続く見通しである。そのため、市債を活用する事業の選定をこれまで以上に厳格に行い、地方債発行規模の適切な圧縮が必要である。

施設類型別ストック情報分析表①(2021年度)

道路

橋りょう・トンネル

公営住宅

港湾・漁港

認定こども園・幼稚園・保育所

学校施設

児童館

公民館

施設情報の分析欄

一人当たりの面積、延長、資産額等については、どの施設も類似団体より高い水準にある。これは、当市は8町村が合併しており、合併前の旧町村毎に整備した公共施設を引き継いだため、類似団体と比べて保有施設数が多い状況にあること、また少子高齢化による人口減少に伴い、施設数に比して人口がさほど多くないことが要因としてあげられる。さらに、市域面積が広大で、山間部を有することかつ平野部は広範囲で散居村を形成していることから、必然的に道路、橋りょう・トンネル等のインフラ資産が多くなる傾向にあり、特に道路については、有形固定資産減価償却率及び一人当たり延長が類似団体と比較して高くなっている。今後は、施設の維持管理費が増嵩することから、さらなる公共施設の統廃合、民間への譲渡等を計画的に進めるとともに、必要なインフラの整備及び計画的な維持修繕を両立させるため、所要の財源を確保することが求められる。なお、有形固定資産減価償却率が類似団体に比して特に低くなっている施設は、保育所、学校施設及び児童館であるが、その主な要因は以下のとおりである。【認定こども園・保育所】合併後、平成28年度までに保育園の統合及び新設を実施してきたこと。(保育園数平成16合併時:28所→平成28以降:12所)【児童館】保育園と同様、合併特例債等を活用し、新設及び改築したこと。(児童館数平成16合併時:3館→平成26以降:4館)【学校施設】小・中学校の統合及び既存校の長寿命化改修を計画的に実施してきたこと。(小学校数平成16合併時:11校→平成26以降:9校、中学校数平成16合併時:9校→平成21以降:8校※令和3年度から、小学校1校・中学校1校が改組され、義務教育学校となった。)また、公民館については、令和元年度より、小規模多機能自治への移行に伴い公民館を廃止し交流センターとなったため、完全移行となった令和2年度以降は当該団体値がない。(平成30:32館→令和1:3館→令和2:0館)

施設類型別ストック情報分析表②(2021年度)

図書館

体育館・プール

福祉施設

市民会館

一般廃棄物処理施設

保健センター・保健所

消防施設

庁舎

施設情報の分析欄

類似団体と比較して、庁舎の有形固定資産減価償却率が特に高くなってる。令和元年~2年度に統合庁舎の整備を行ったことで令和2年度の償却率は若干減少に転じたが、本調査の「庁舎」には出張所が含まれており、統合庁舎以外の出張所は合併前の旧町村の庁舎を引き継いだもので特段の更新工事を実施していないことから、減価償却率が高くなる傾向にある。また、市民会館及び図書館も類似団体と比較して有形固定資産減価償却率が高くなっており、これらは今後、順次更新時期を迎えることから、統廃合などの施設再編のさらなる促進を図るとともに、施設を維持する場合には計画的な更新・管理をしていく必要がある。一人当たり面積については、ほとんどの施設で類似団体平均を上回っており、庁舎のほかに、体育館・プール、福祉施設、図書館で高い値を示している。この要因としては、分析表①でも既述したように、合併前の旧町村毎に整備した公共施設を引き継いだため、類似団体と比べて保有施設数が多い状況にあること、また少子高齢化による人口減少に伴い、施設数に比して人口がさほど多くないことがあげられる。今後の市の財政状況や、人口減少などにより公共施設等の利用需要が変化していくことが予想されること等を鑑みれば、公共施設の保有量は身の丈に合ったものに見直しを進めていく必要がある。将来世代の負担を圧縮するためにも、公共施設再編計画に基づき、施設の統廃合や民間への譲渡など積極的に利用の転換と有効活用を図り、保有量の適正化に取り組んでいく。

財務書類に関する情報①(2021年度)

資産合計

負債合計

1.資産・負債の状況

一般会計等においては、資産総額が前年度末から1,430百万円の減となった。減価償却が進んだことによる資産価値の減少が主な要因であり、特にインフラ資産(市道など)及び事業用資産(建物)において顕著である。インフラ資産については、市道整備が概ね完了し近年では改良工事や修繕工事が増加していること、また事業用資産については、公共施設再編計画に基づき施設の再編・統廃合を進めており新規施設の整備が少ないことから、新たな資産の取得額以上に既存資産に係る減価償却による資産の減少が上回る傾向にある。また、負債総額は、一般会計等において前年度末から1,742百万円の減となった。金額の変動が最も大きいのは地方債(固定負債)であり、地方債の発行額が減少(前年度比△69百万円)し、地方債の償還額が発行額を上回ったことで地方債残高が1,555百万円の減となった。全体会計においては、インフラ資産等において減価償却が進んだ結果、資産額は前年度末から3,944百万円減少した。また、負債総額は、既発債の償還満了等により地方債残高が減少したことなどにより、前年度末から4,469百万円減少した。資産総額に占める負債総額の割合は、一般会計等で約14%であるのに対し、全体会計では約23%となった。

純経常行政コスト

純行政コスト

2.行政コストの状況

一般会計等における経常費用は31,583百万円となり、前年度に比して△4,713百万円の大幅な減額となった。金額の変動が最も大きいのは補助金等や社会保障給付を含む移転費用(前年度比△4,678百万円)であり、これは令和2年度に新型コロナウイルス感染症に係る緊急対策事業として実施した特別定額給付金などの各種補助事業に係る費用が減少した反動によるものである。また、業務費用の方が移転費用よりも多く、最も金額が大きいのは減価償却費や維持補修費を含む物件費等(13,250百万円、前年度比+42百万円)であり、経常費用の約42%を占めている。ここには、大雪対応に係る除雪対策費の増加の影響も含まれるが、施設保有数が多いことにより施設の維持管理費が嵩む傾向にあり、公共施設再編計画に基づき、施設の再編、統廃合等を着実に進め、保有総量と経費の縮減に努める必要がある。経常収益は932百万円(前年度比△58百万円)であり、純経常行政コストは前年度比4,655百万円減の30,652百万円であった。全体会計における経常費用は、上述した一般会計等の経常費用の減額要因の影響が大きく、45,075百万円(前年度比△4,393百万円)となり、経常収益は病院事業会計において新型コロナウィルスの影響で落ち込んだ医業収益が前年度より増加(前年度比+207千円)したことなどにより、8,742百万円(前年度比+249百万円)となった結果、純経常行政コストは前年度比4,642百万円減の36,333百万円となった。

本年度差額

本年度末純資産残高

本年度純資産変動額

3.純資産変動の状況

一般会計等においては、税収等の財源(31,267百万円)が純行政コスト(30,806百万円)を上回ったことから、本年度差額は461百万円(前年度比+916百万円)の黒字となり、純資産残高は313百万円の増額となった。税収等の財源では、地方消費税交付金、法人事業税交付金及び地方交付税の増加により税収等は増加(前年度比+890百万円)したが、新型コロナウイルス感染症関連の特別定額給付金事業費補助金の皆減などに伴い国県等補助金は減少(前年度比△4,855百万円)した。一方、純行政コストにおいても、特別定額給付金をはじめとした新型コロナウイルス感染症対策関連事業の減少により、前年度比△4,881百万円の30,806百万円となり、財源よりも純行政コストの減少が上回った。全体会計では、国民健康保険事業特別会計の国民健康保険税等が税収等に含まれるため財源は37,189百万円、純行政コストは36,511百万円となり、本年度差額が678百万円の黒字となった。3つの公営企業会計の本年度差額においても、それぞれ病院事業会計64百万円、水道事業会計83百万円、下水道事業会計146百万円の黒字となっているが、本年度差額等の赤字が黒字に転じたことについては、上述した一般会計等の新型コロナウイルス感染症に係る各財源・行政コストの影響を大きく受けたものである。なお、年度末純資産残高は291,838百万円(前年度期末残高に比して525百万円の増)となった。

業務活動収支

投資活動収支

財務活動収支

4.資金収支の状況

一般会計等における業務活動収支は5,460百万円の黒字であったが、投資活動収支は南砺つばき学舎整備工事等の影響により公共施設等整備費支出が増加したことに伴い△3,508百万円の赤字となった。財務活動収支は、地方債の償還額が発行額を上回ったことから、1,562百万円となっており、この結果、本年度末における資金収支は390百万円の黒字となっており、本年度末資金残高は2,176百万円(歳計外現金は含まず)となった。全体会計では、国民健康保険税や後期高齢者医療保険料、病院事業における医業収入等が業務収入に含まれることから、業務活動収支は一般会計等より2,237百万円多い7,697百万円の黒字となっている。投資活動収支では、3つの公営企業会計において公共施設等整備費支出の減少により前年度から赤字幅が減少し、また国民健康保険事業特別会計で基金取崩収入による投資活動収入の増により黒字となったことで、一般会計等の投資活動収支より171百万円少ない3,338百万円の赤字となった。財務活動収支では、公営企業会計における企業債の償還額が発行額を大きく上回っているため、3,948百万円の赤字となっている。この結果、本年度末における資金収支は411百万円の黒字となっており、本年度末資金残高は6,993百万円(歳計外現金は含まず)となった。

財務書類に関する情報②(2021年度)

①住民一人当たり資産額(万円)

②歳入額対資産比率(年)

③有形固定資産減価償却率(%)

1.資産の状況

住民一人当たり資産額は、後年度の事業への充当財源として積立てを行った地方創生推進基金や施設等整備基金などの基金残高の増加により投資及びその他の資産が増加したことと、前年より人口が減少したため増加した(前年度比で+8.5万円/人)。ままた、合併前の旧町村毎に整備した公共施設があるため、保有施設数が非合併団体よりも多く、類似団体平均を大きく上回っている。歳入額対資産比率は、新型コロナウイルス感染症対策関連の特別定額給付事業費補助金などの国県等補助金収入が大幅に減少したため、比率が増加した(前年度比+0.56ポイント)。当比率も過去に形成してきた資産が多いことから、類似団体平均を上回る状況となっている。有形固定資産減価償却率は、当年度増加した資産以上に、既存資産の減価償却費が大きいため増加した(前年度比+1.6ポイント)。当比率は、類似団体平均値と同等値を示しているが、毎年増加傾向にあり、今後多くの施設が更新等を順次迎えることになるため、引き続き、公共施設再編計画に基づき、施設等の集約化・複合化を進めるとともに、維持していく施設については更新や長寿命化等の適正な管理に努める。

④純資産比率(%)

⑤将来世代負担比率(%)

2.資産と負債の比率

純資産比率は、税収等の財源が純行政コストを上回ったことから純資産が増加し、前年度比+0.5ポイントと若干増加した。また、人口規模に対して資産額が大きいこと及び継続的に地方債の繰上償還を実施してきたことから、負債合計が抑えられているので、類似団体平均を上回る高い水準で維持している。将来世代負担比率は、地方債発行収入が減少し、地方債の償還額が発行額を上回ったことで地方債残高が前年度より1,091百万円減少したため、前年度比△0.3ポイントと若干減少した。当比率も、純資産比率と同様の理由から類似団体平均を下回る結果となり、両比率からは将来世代の負担が類似団体よりも低いといえる。一方で、現資産を形成するために過去・現代世代が負担してきた割合が高いと言い換えることもできるため、今後の市の財政状況を的確に把握しつつ、世代間における負担の公平化にも努めていく。

⑥住民一人当たり行政コスト(万円)

3.行政コストの状況

住民一人当たり行政コストは、令和2年度に新型コロナウイルス感染症に係る緊急対策事業として実施した特別定額給付金などの各種補助事業に係る費用の減少により、前年度からは減少した(前年度比△8.7万円/人)。類似団体に比して住民一人当たり行政コストが高くなる要因として、経常費用の約42%を占める減価償却費や維持補修費を含む物件費等があげられる。合併前の旧町村毎に整備した公共施設を継承しており、類似団体に比して施設数が多いことから維持管理費が嵩む傾向にあるため、公共施設の統廃合等を進めていくとともに、維持管理経費に必要となる一般財源の確保に努める。また、今後も高齢化により、当面の間は社会保障給付の増加が見込まれることから、一般財源の確保策を講じながら、介護予防等に係るソフト事業の拡充を継続していく。

⑦住民一人当たり負債額(万円)

⑧基礎的財政収支(百万円)

4.負債の状況

住民一人当たり負債額は、地方債発行収入が前年度より6.9百万円減少し、地方債の償還額が発行額を上回ったことで、地方債残高が前年度より1,555百万円減少したため、減少した(前年度比△2.0ポイント)。当比率は、類似団体平均を上回っているが、地方債の充当にあたっては、過疎債、辺地債、合併特例債などの後年度に元利償還金に対する交付税措置のある有利なものを活用してきたため、実質的な後年度の負担は負債額よりも小さくなる。一方で、令和2年度以降、合併特例債の発行期間満了に伴い、交付税措置率の低い地方債を充当しなくてはならないことから、中長期的には実質公債費比率の上昇が予見されるため、地方債発行規模の抑制や起債対象事業を厳選していく。基礎的財政収支は、業務活動収支の黒字分が投資活動収支の赤字分を上回ったため、前年度より+473百万円となっている。投資活動収支は公共施設等整備費支出の増により△2,316百万円の赤字となったが、業務活動収支は令和2年度に新型コロナウイルス感染症に係る緊急対策事業として実施した特別定額給付金などの補助金等支出及びそれに伴う国県等補助金収入が減少したが、他方で地方消費税交付金等の税収等収入が増加したことで、前年度に比して+1,218百万円の黒字となった。

⑨受益者負担比率(%)

5.受益者負担の状況

受益者負担比率は、令和2年度に新型コロナウイルス感染症に係る緊急対策事業として実施した特別定額給付金などの各種補助事業に係る費用の減少に伴い、経常費用が減少(前年度比△4,713百万円)したことで、前年度から+0.3ポイントの増となった。当比率は、例年類似団体平均を下回っており、行政サービスの提供に対する直接的な負担の割合は比較的低くなっている。経常費用に占める物件費等の割合が高いことから、公共施設等の使用料の見直しを行うことで受益者負担の適正化を図るとともに、公共施設等総合管理計画に基づき、身の丈にあった公共施設等保有量への転換を図り、老朽化した施設の統廃合を進めることで経常費用の削減に努めていく。

出典: 財政状況資料集, 統一的な基準による財務書類に関する情報,