経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は,100%未満で単年度の収支は赤字である。②累積欠損金比率は,全国平均,類似団体平均値を大きく上回り,営業活動により生じた損失を補填できず,複数年度に渡って欠損金が累積している。欠損金を抑制するための手段を講じる必要がある。③流動比率は,100%を下回り,短期的な債務に対する支払能力は低い。事業運営の為に,一般会計からの繰入金で不足分を補っている。④企業債残高対事業規模比率は,全国平均及び類似団体平均値を大きく上回る。本事業については事業計画に基づき管渠の整備の途上で,今後も企業債の借入が必要なため,企業債残高の割合は大きくなると思われる。※令和2年度の正しい値は27903.87%(決算状況調査表に誤りがあったため)⑤経費回収率は,全国平均及び類似団体平均値よりも低く,100%未満のため,使用料収入だけでは必要な経費を賄えていない。収入の確保に努める必要がある。⑥汚水処理原価については,全国平均及び類似団体平均値を下回っている。前年度よりも年間有収水量が増加しているが,汚水処理費も増額しているため,例年と同水準となっている。⑦施設利用率については,本事業は,隣接する矢掛町の処理施設で汚水処理を行っているため0%である。⑧水洗化率は,接続世帯増加に伴い,増加が見込まれるが,接続対象となる人口・世帯の減少及び,高齢化により,伸びは緩やかなものになると考えられる。
老朽化の状況について
供用開始から10年程度しか経過しておらず,老朽化等の不具合は確認されていない。今後も定期的な点検管理を行っていく。
全体総括
特定環境保全公共下水道事業は,専ら公衆衛生の向上・公共用水域の水質保全が目的であり,公共性が非常に高い事業である。本事業は,先進的な取り組みとして矢掛町との広域処理で整備しているが,人口構造や地理的要因により,水洗化率や有収水量の著しい伸びは期待できず,経営の健全性には課題がある。したがって,経営の健全性と公益性のバランスがとれるような事業運営を行っていく必要がある。