経営の健全性・効率性について
農業集落排水事業は、漁業集落排水、小規模集合排水事業と同一会計で運営を行っている。経営状況としては、公共下水道との負担の公平性の観点から料金体系が同一となっていることから、料金収入等の自主財源で維持管理経費を賄う事ができず、市債償還額の不足分をあわせ、一般会計繰入金に頼らざるを得ない状況にある。①収益的収支比率は、算定上、算入除外となる資本費平準化債借入額の増加に伴い、年々低下している。平成27年度は68.01%と、前年度に比べ2.18ポイント低下しているが、経費全体額は減少しているものの、市債元利償還額は増加しており、それに伴う資本費平準化債の借入額の増により、総収益中の一般会計繰入金(資本費充当分)が減少した事によるものである。⑤経費回収率、⑥汚水処理原価は、経費の減により数値は昨年度から改善している。⑦施設利用率、⑧水洗化率は類似団体平均と同水準であり、昨年度に比べ数値も向上している。引き続き接続促進等、普及活動を行い、水洗化率の向上を図っていくことが必要である。
老朽化の状況について
本事業は、平成27年度末で市内に36箇所の処理場を抱え、施設及び機器類の老朽化の状況に応じ、順次修繕、機器更新を行っている状況である。しかし、これらの施設の中には供用開始後30年を経過した施設もあることから、今後の更新期を迎えるにあたって、将来にわたる更新コストの抑制、効率的な施設運営を行うため、ストックマネジメント計画の策定、公共下水道に隣接する施設の公共下水道への接続及び施設の統廃合の検討を行い、計画的な更新、長寿命化を図っていく必要がある。
全体総括
本市の農業集落排水施設は、平成28年度末に新設事業を完了し、維持管理主体の事業となる予定である。本事業は、比較的小規模な施設が市内に点在しており、老朽化の進んでいる施設もあるため、経費の節減に努めるほか、施設の統廃合、更新及び長寿命化を進め、効率的な管理運営を図っていく必要がある。また、事業の財政状況や経営状況を的確に把握し、経営改善に活かすため、平成31年度を目標に企業会計に移行する予定である。