経営の健全性・効率性について
人口変動も少なく料金収入はほぼ横ばい、維持管理費も事業規模の小ささを考慮すればほぼ横ばい推移となっており、収益的収支比率は実質横ばい推移となっている。事業規模が小さい本事業においては、維持管理費の大幅な削減は見込めず、今後地方債元利償還額が横ばいで推移するものの、人口減少の進行に伴って料金収入も減少すると見込まれる。よって、収支比率は横ばいもしくは減少傾向になると思われる。企業債残高対事業規模比率は、既発債の順次償還により減少傾向にあり、類似団体と比較してH28で797.08ポイントも上回っており、年々改善傾向にあるが、事業規模から見て経営状況の健全性は低いと言える。今後、地方債残高は着実に減少していく見込みであるが、人口減少による料金収入の減も見込まれることから、他の下水道事業と併せて料金水準の見直しを検討する必要がある。経費回収率については、事業規模の小ささを考慮すればほぼ横ばい推移となっているが、類似団体と比較してH28で29.99ポイントも下回っており、経営の健全性は低いと言える。維持管理費の抑制は事業規模から見て困難であるため、今後は料金見直しの検討等により健全性向上を図っていかなければならない。汚水処理原価については、類似団体と比較してH28で1,100.67ポイントも上回っており、処理費用の効率は低いと言える。事業規模から見て維持管理費の抑制は難しく、他処理区との統合は地理的要因から困難であり経費削減メリットは小さいと考えられる。施設利用率については、類似団体と比較してH28で27.22ポイント下回っており、施設の効率性は低いと言える。水洗化率は100%となっており、隣接する他処理区との統合についても維持管理費抑制の面からメリットは小さいため、効率性向上が課題となっている。
老朽化の状況について
処理施設としては小規模のものであり、当面は軽微な修繕で対応可能であるが、計画的な維持管理を行い経費の平準化を図らなければならない。
全体総括
事業の経営規模からみて大幅な維持管理費の抑制は難しいと考えるが、人口減少による料金収入の減少は避けられない状態にあるため、他の下水道事業と併せて料金見直しの検討を行う必要がある。今後、施設更新に伴う多額の費用発生の見込みはないものの、適切な施設の維持管理を行いながら、計画的な施設修繕等を行い、経営の健全化を図らなければならない。