経営の健全性・効率性について
年間有収水量が減少しているものの施設運営の合理化により収益的収支比率は上昇している。また、経費回収率は100%を超えており汚水処理原価についても経営改善に向けた汚水処理費の抑制に努めた結果が反映されている。今後は、更新投資等に充てる十分な財源確保をする必要があるため、健全経営を継続しながら更にもう一段の費用抑制を視野に入れる必要がある。企業債残高対事業規模比率は全国平均、類似団体と比して優位であるが依然として高いことから、効率的な健全経営と更新コストの合理的縮減を図った長・中期的経営戦略の策定が急務である。
老朽化の状況について
特定環境保全公共下水道事は平成9年度に供用開始をしてから20年近くが経過し、下水処理場や汚水管渠の老朽化が進んでいる。しかしながら、公共下水道と比べて比較的新しいため、改築、更新事業は公共下水道施設を優先して行っているところである。平成32年度からはストックマネジメント計画にて、公共下水道施設と併せて更新コストの合理的縮減に努めながら計画的な改築・維持管理を行っていく計画である。
全体総括
公共下水道事業と併せて水洗化を積極的に促進してきた結果、水洗化率は98%に達しており、公共用水域の水質保全や使用料収入の向上が図れている。施設利用率については全国平均や類似団体と比べ優位となっているが、人口減少や節水により減少傾向にある。経費の回収については下水道使用料にて賄えているものの、今後、老朽化した施設更新への投資が必要となるため、一層合理的な経営費用の縮減に努める必要がある。収益的収支比率についても経年で比較した場合、近年右上がりで上昇しており経営改善に向けた取組が成果を上げていると見受けられるが、経費回収率や汚水処理原価がほぼ横ばいになっていることから、現状維持に留まっている状況であり、先に述べた老朽化した施設への投資費用の捻出が現状のままでは困難であると推測される。また、償還すべき企業債残高も高額で、経営費用のうち地方債償還金が占める割合は依然高い状況である。今後も低金利の借換債を発行するなど償還額を抑え、コスト縮減に努めながら企業債の抑制に努める必要がる以上の経営状況を踏まえ、経営戦略やストックマネジメント計画の早期策定を目指さなければならない。