経営の健全性・効率性について
収益的収支比率については、企業債償還が経営の硬直化の要因となっており、その償還財源として資本費平準化債に依存している。このため、26年度より料金改定を行っているが、依然として使用料収入以外の収入に依存している状況が顕著であり、更なる経営改善に向けた取組が必要であると考える。企業債残高対事業規模比率については、今後、流域下水道への接続を計画しており、処理場施設の更新等を見送っていることから、類似団体と比べ低いものとなっている。経費回収率については、類似団体の平均は超えているものの、人口減少の影響により、使用料収入が伸び悩んでいる。汚水処理原価については、類似団体の平均よりは低い水準にあるものの、労務単価の見直しや修繕費等の管理経費の増加により、今後は更なる上昇が予想される。施設利用率については、過疎化や少子高齢化の影響によって処理人口の減少が進んでいることから、今後も下がっていくことが予想される。水洗化率については、類似団体に比べ、高い水準にあるが、高齢世帯などに普及の余地がある。
老朽化の状況について
現在のところ、市内において一番早く整備された地区で供用開始から30年が経過していることから、処理施設の電気機械設備の老朽化が進行し、維持管理経費が年々増高している。こうしたことから、維持管理経費等のコスト削減を図るため、公共下水道の事業計画区域内で、供用後30年を経過した施設から、順次流域下水道への接続を計画しており、老朽化への対応は行っていない。
全体総括
長浜市の農業集落排水事業については、類似団体と比較しても、全般的に良好な数を示しているが、人口の減少に伴い、新たな収入が見込めないことから、平成26年度より公共下水道使用料に統一し、財務改善を図っているが、今後、処理施設の維持管理経費の高騰が懸念され、更なる経営改善に向けた取組が必要であると考える。このような中、経営改善への対応として、平成26年度末に策定した「下水道ビジョン」に基づき、57地区のうち31地区の農業集落排水施設を、平成40年度までに流域下水道へ接続する計画で事業に取り組んでいる。なお、下水道計画区域外地区の公共下水道への接続や施設の統廃合については、次期ビジョン策定時に検討する予定である。