経営の健全性・効率性について
本市の農村集落家庭排水施設は、平成27年度の①収益的収支比率及び⑤経費回収率が100%を上回ったので、単年度の収支は黒字であり、使用料収入で汚水処理費を賄えていることを示しています。収支が黒字となった要因としては、前年度は、大規模な排水管更生工事を行ったり、単年度の農村集落家庭排水施設統合検討委託料が生じたりと、排水施設維持管理事業で大きな支出がありましたが、平成27年度は、これらの支出がなかったため総費用が大幅に抑えられたことが考えられます。⑥汚水処理原価は、類似団体と比較して低い数値で推移しており、比較的効率的な汚水処理が実施されています。⑦施設利用率は、類似団体の平均値と比較すると30%程高くなっており、80~90%程の稼働率となっています。施設の利用状況は、遊休状態となっておらず、無駄なく適正な規模で利用されていると考えられますが、処理能力を超える水量が流入しないよう、雨水、地下水等の不明水対策を講じていきます。企業債残高は類似団体と比較して非常に低い水準となっています。今後は不明水対策事業で企業債が新規で増える見込みですが、経営改善に向けた取組みを引続き行っていきます。⑧水洗化率は、類似団体を上回っています。人口の減少や閉栓により若干の増減はありますが、年々少しずつ増加していく見込みです。
老朽化の状況について
農村集落家庭排水施設は、昭和58年7月に供用開始して既に30年以上経過しています。現時点の管渠の使用年数は耐用年数(約50年)を超えていませんが、地下水が多い地区では不明水が発生しているため、今後管渠の改修工事を進めていきます。沓掛浄化センターの老朽化対策については、公共下水道への切替の予定があるため、必要限度に留め更新を行っていきます。
全体総括
平成27年度は、前年度と比較して排水施設維持管理事業費が大幅に抑えられたため、単年度の収支は黒字であり、汚水処理に係る経費が使用料で賄えている状況です。しかしながら、沓掛浄化センターでの処理は、老朽化に伴い処理能力面からも施設改修経費面からも今後は非常に厳しくなるため、農村集落家庭排水施設単独では成り立たなくなることが予想されます。したがって、今後も農村集落家庭排水施設区域の健全な汚水処理事業の運営のために、公共下水道への切替接続による経営改善が必要と考えています。