経営の健全性・効率性について
【収益的収支比率】使用料改定時期が平成27年10月だったため、効果がおよそ半年分に留まったことに加え、地方債償還金の増加により平成26年度比で悪化しています。地域差を生じないようにするため、下水道事業と同率の使用料改定を行ったことから、今後も使用料収入の不足が見込まれます。【企業債残高対事業規模比率】現在も、機能強化対策事業に係る下水道債や資本費平準化債の発行を行っているものの、全体としては当初整備時の企業債の償還が進み、企業債残高が減少しているため、当該比率は改善しています。【経費回収率】平成27年10月に行った使用料改定により、使用料収入が増加したため、平成26年度比で当該比率は改善していますが、接続率の向上、使用料の見直しや、更なる維持管理コストの削減を図る必要があります。【汚水処理原価】汚水処理費の減少により平成26年度比では改善しているものの、人口減少等に伴う年間有収水量の減少により汚水処理原価は増高傾向にあります。汚泥減容化や下水道事業との接続(汚水連携)による処理場の統廃合等により維持管理コストの縮減を図ります。【施設利用率】人口減少等により、施設利用率は下降傾向にあります。なお、平成27年度の日最大処理水量処理時の施設利用率は77.83%です。【水洗化率】生活排水処理推進員による戸別訪問等の接続率向上に向けた取組により新規接続があるものの、水洗便所設置済人口は減少傾向にありますが、現在排水処理区域内人口自体の減少により水洗化率は上昇しています。
老朽化の状況について
農業集落排水事業は整備が完了しており、最も早く供用開始した施設は平成27年度末時点で33年が経過しています。設備の更新時期を迎える処理場は計画的に機能強化対策事業に取り組む一方で、下水道事業との接続(汚水連携)による処理場の統廃合を行っていきます。管渠調査の結果、管渠は平成28年度時点では更新時期を迎えていませんが計画的に管路内調査をし、必要な修繕を行い管渠の保全を図ります。
全体総括
農業集落排水事業の経営は、人口減少による使用料の減少などにより、今後も厳しい経営状況が見込まれます。平成27年10月に使用料改定を行いましたが、地域の差が生じないように、下水道使用料と同率までの改定としていますので、経営は未だなお厳しい状況にあります。経営改善の取組として、生活排水処理推進員による未接続世帯への戸別訪問等により接続率を向上させ使用料収入の増加を図るとともに、汚泥減容化や下水道事業との接続(汚水連携)による処理場の統廃合等により維持管理コストの縮減を図ります。また、経営成績や財政状態などの経営状況をより的確に把握するため、平成32年4月に地方公営企業法の一部適用を行う予定です。