地域において担っている役割
埼玉県精神科救急体制整備事業常時対応施設・医療観察法指定入院医療機関・指定通院医療機関・第二種感染症指定医療機関(結核等)・埼玉県依存症専門医療機関などの指定を受けている。令和3年度は、地域医療機関では対応困難な依存症、児童思春期精神疾患患者、医療観察法対象患者などに高度な医療を提供するとともに、「断らない救急」をスローガンに救急患者を時間外、夜間・休日も積極的に受入れ、在宅療養後方支援機能の充実を図り地域包括ケアシステムの確立にも貢献した。
経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、入院収益が減少したこと等により、前年度から0.9ポイント低下し、100%を1.4ポイント下回った。②医業収支比率は、減価償却費など医業費用が減少したこと等により、前年度から0.3ポイント上昇した。③累積欠損比率は、前年度11.6%であったが、地独化に伴い累積欠損を解消したため1.5%まで低下した。④病床利用率は、入院患者が減少したこと等により、前年度から5.1ポイント低下したが、他病院平均に比べ高い水準となっている。⑤⑥入院患者、外来患者の1人1日当たり収益は、ともに前年度から上昇した。⑦職員給与費対医業収益比率と⑧材料費対医業収益比率は、独法化して医業収益に代わり営業収益が算式に使われることになったため、前年度の⑦98.3%、⑧6.7%を下回った。
老朽化の状況について
①~③の指標については、法人化に伴い県から資産を引継いだ際、減価償却累計額を差引いた額を取得価額とする整理を行ったため、前年度から大幅に低下している。建物が築後30年を経過していることから、老朽化対策を検討していく必要がある。建物と備品の更新時期に備えて十分な医業収益を確保していく必要がある。
全体総括
精神保健福祉法により県立精神科病院の設置が義務付けられており、民間医療機関では対応困難な高度・専門精神科医療を今後も提供していく必要がある。医師・看護師のほか、精神保健福祉士・臨床心理職など、精神科病院特有の医療スタッフを多数配置して多職種チーム医療を提供している。また、精神科単科の病院であるため、他の埼玉県立病院(身体科)との連携が必須である。今後も児童思春期精神疾患患者、医療観察法対象患者などに対して高度な医療を提供するとともに、「断らない救急」をスローガンに、救急患者を時間外、夜間・休日も積極的に受入れ、在宅療養後方支援機能の充実を図り地域包括ケアシステムの確立にも貢献していく。